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競馬コラム

心地好い居酒屋

2019年02月17日(日)更新

心地好い居酒屋:第61話

前回の「TMC」の連中との飲み会は梶谷が“嵐ロス”でドタキャン。同じ思いの阿部秘書と二人で憂さ晴らしをしたせいもあって、この日は、とりあえず“嵐”の話題から始まったのだが、梶谷の「“嵐”は5人だから“嵐”なんで、バラバラになってしまえば、ただの風でしょ。冬は普通に冷たいし、夏はジトッとするだけ」の一言でチョン。二人の中では結論は出ていたようだ。

「そうね」と頷いた阿部秘書は、皮剥の刺し身を肝タップリの醤油に浸け、左手を添えて口に運び、ジックリ味わった後、「いよいよ出稿なくなりますよ。3月いっぱいで。来週中にも、別部さんにきていただいて断る予定です」。急に話を振られ、しかも“まさか”の事実を告げられた井尻は、持ち上げていたビール瓶を落っことしそうになった。「別部?局長?それとも…」。どちらが、何が原因かを訊いた。

「前々から止めるタイミングを考えていましたし、そんなことは井尻さんも、薄々感じられていたとは思いますが、実は新年の挨拶に来られた時に、こんなことがありましてね」。阿部秘書は一息入れて「千寿」の熱燗をグビリ。つられて井尻は親爺が注ぎたしたビールを一気に飲み干し、次の言葉を待った。

遠野は莢ごと炙った空豆を箸で取りだし口に入れた。熱くて美味い。後で<喉黒の焼きや、蕗の薹などの天ぷらなども用意している>と説明してたし、<ぼつぼつ冷酒にするか>と思いつつ成り行きを楽しんだ。梶谷はすでに知っているのだろう。魂消(たまげ)た風もなく、酒を飲み、刺し身を食べている。

「局長は有村の薩摩贔屓を知悉していて、それで『西郷どん』をたまには観てたんでしょうね。『久々に面白い大河ドラマでした。それにしても薩摩隼人、いや薩摩人の生き方には感服しました』と。わざとらしいでしょ。それでもここまでは良かったんですが…」。周りを焦らせる積もりは毛頭ないのだろうが、<どうしょうかな>って感じで首を傾け、空豆を摘まむと、ポンと口に放り込んだ。いい塩梅に冷めてたようだ。「春の香りですね」と言い「遠野さん、冷酒にしません?」。

願ったり叶ったりで「そうなんだ。自分も今、そう思っていたところで…。親爺!『洗心』ちょうだい」。親爺も冷酒を飲みたくてウズウズしてたようで注文するや否や立ち上がり、グラスと一緒に4合瓶を引っさげて戻ってきた。阿部秘書が井尻にビールを注ぐと、梶谷が自分のも含め4人のグラスに「洗心」を満たし、改めての乾杯となった。後は腰を据えて話を聞くだけだ。

「あら!そんなに見詰めないでくださいな。いえね。『“赤貧洗うが如し”の日常にいながら、あれだけ真摯に生きて行けるなんて感動もんですよ』と言っちゃったんです」

「バカが!」。思わず遠野が口走った。「ええ。聞いた有村は『局長!薩摩の民は例え貧しくとも“赤貧”ではなく“清貧”ですので悪しからず』と」。「とんだところで恥をかいたもんだな甘方も。で、甘方の反応は?」。問われた阿部秘書は一瞬、戸惑った風だが仲間には隠せない。ちゃんと答えてくれた。「『これは失敬!さすが社長。一本とられました』と」。「その後、照れ隠しで笑ったんじゃない?」。矢継ぎ早の問いに、阿部秘書はパッチリの目をさらに見開き「ご覧になってたみたい」と答え口を押さえウフッと笑った。

黙って聞いていた親爺が「ほら、清水さんが言ってたのは何だっけ。え~『肩をおびやかし諂い笑うは……』なんちゃらって」。受けて遠野が「『夏畦より疲る』ってか」。これにはさすがの“知ったかさん”も??…の表情。「要するに、そんな状況でお世辞笑いしている奴といるのは夏の畑仕事より疲れるってこと。スマホの持ち腐れにならんようにな」と言い新しいビール瓶を持ち井尻を励ました。

「諫言や箴言、忠告などには素直に耳を傾ける有村は、讒言と甘い方の甘言。そして迎合が大嫌い。今までの積み重ねもあり、あの一件で局長とは深い付き合いはできないと判断したんだと思います」。絶縁宣言に等しいが、直後の縁切りじゃなく3月までは付き合うというのだから大人だ。これなら甘方も傷つくまい。そんな有村の配慮には頭が下がる。

「高兄ぃには関係ないことだし、落ち込むことないじゃん。編集は編集で面白い企画と取材に加え上手な原稿を書いてりゃいいんだから」。梶谷が冷酒を飲み、揚がったばかりの蕗の薹の天ぷらを食べた。「噛むと苦さがジワ~と広がり、その後に日本酒の香りと甘さが残って。日本酒にピッタリですね」

「雅子は気楽でいいよなぁ」。井尻がぼやくと、すかさず阿部秘書が「“梶”の苦労も知らないで、よく人のことを言えますね」と突っ込んだ。「あ、すみません。そんな深い意味はありませんので」「だって」と阿部秘書が言い梶谷を見た。

「高兄ぃもそうだけど社会部とレース部で“青汁王子”って男の脱税問題と馬主資格や、幾らの馬がどこの厩舎に入る予定だったのか…そんな合同取材はできないの。面白いと思うけどなぁ」「そうだよ。青汁か鼻汁かは知らんが馬のことは俺も知りたい。こういう時はどうなるの。免許は?とのさんはどう思う?」

「確かなことは言えんけど逮捕だけなら大丈夫だろ。後は禁固刑以上で、期間が10ヶ月未満になるかどうか。それと、推薦人や後押しする奴とJRAの力関係も微妙に影響するかもな。何たって社台系の馬を4頭一気に買ってるし」

「ふ~ん。ここにも社台の名前が出てくるんだ。すごいねぇ。ま、他人様のことはともかく今週の『フェブラリーS』はどうする?」「どうするも何も、親爺は一昨年儲けた得意のレースだし社台のゴールドドリームから買うんだろ」「ヘヘッ。まぁね」と申し訳なさそうに笑い「菜七子ちゃんのは?」「分からん。気になるんなら買えば」

遠野と親爺が話している間に、梶谷は新しく届いた喉黒の焼きをほぐし、遠野の皿に盛り、目の前に置いた。「ありがとね。おまさちゃん達は馬券買わないよね」「ええ。同じGⅠでもNHKが放送するのが大前提ですから。民放はやたらうるさくて…」。梶谷が答えると「そうそう。この間は『有間記念』の配当で贅沢なスイーツとお茶ができました。おかげでスッキリしました」と阿部秘書。「エッ。“嵐ロス”の日?イタリアンとかでワインじゃなかったの」。遠野と親爺がビックリの声を出すと「やけ酒なんてしませんのでご安心を」とニッコリ。

「とのさんよ~。おまさちゃんと京子ちゃんも“清茶淡話”の仲だな」。親爺が締めた。

源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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