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競馬コラム

心地好い居酒屋

2019年08月28日(水)更新

心地好い居酒屋:第73話

煽り運転事件が一段落すると、今度はテレビや新聞は日韓問題で持ちきりだが、端くれとはいえマスコミ界に位置する「TMC」社内はそれどころじゃなく人事絡みの“人間関係”で上を下への大騒ぎらしい。先月(7月8日)の飲み会で下川が話題にした甘方VS別部がさらにエスカレート、至る所で噂にのぼり、遂には広告の藤並局長に総務局長の小池までもが口を挟み前面に出てきたのだ。

遠野は盆休みにコッソリ阿部秘書と梶谷から中間報告らしきものを聞いているのだが、まさか、「頑鉄」の席でそれを言う訳にもいかず、素知らぬ態でそれぞれの話を聞くしかない。もっとも喋るより、とりあえずは酢味噌で和えたジュンサイに興味があった。親爺が「天然もんだよ。秋田の三種町の沼で獲れた奴だからな」。自慢気だったのだ。梶谷は器用に箸で摘まみ「このツルッとした感触と噛んでる芯の歯触りが最高!遠野さんも召し上がったら」。感激しながら、こちらも先日の三者会談がバレないよう注意している。

「八海山」の大吟醸を一口飲み、だだちゃ豆を放り込み、それからジュンサイを食べた。「確かに!おまさちゃんの表現は絶妙だね」。遠野がコソッと言った時に「遠野さん!聞いてくれてます?」と下川。「うん。まだ補聴器は要らないから大丈夫。藤並が急に小池の意見に与(くみ)するようになったってことだろ。あいつの膏薬ぶりは一生変わらんよ」「膏薬?」。聞き返す下川に向かって「ほらっ。膏薬ってどこにでもくっつくだろ」。親爺が説明した。

膏薬、いや藤並は、どうやら社内の役員争いは甘方より小池の方が一歩出たと判断したようだ。

黙って「黒霧島」を飲んでいた刈田は、これまた「天然もの」と親爺お薦めの間八の刺し身を味わい「白身魚とは思えないほど脂が乗って、これ焼酎に合います」と珍しく食い物の感想を告げた。続けて「あの別部さんが局長に対し、ふて腐れたというか開き直ったというんだからビックリです」。「同じ広告局ですから当然といえば当然ですが、最近の別部さんは藤並局長優先で、甘方局長とはほとんど口をきいてないとか。椎名の情報ですけどね」と下川。

「そんな状態で別部はやっていけるのかなぁ」。井尻がポツリ呟いた。「部長が心配することじゃないでしょ」「別にあいつの心配をしてる訳じゃないけど……」。互いに甘方への不信感がふつふつと湧いてきたのか、2人の掛け合いには覇気がない。「ところで山田が辞めて何年だ」。<言わずもがな>とも思ったが、遠野はあえて甘方のあくどい人事の犠牲者の名前を出した。

「まる3年です」。さすが尊敬していただけある。刈田が即答した。と同時に「あっ」。声を出し、すぐに下を向いた。あの人事が甘方主導だったことに気付いたのかも。 「そうかぁ。もう3年になるか。山田も『週間潮春』で重宝されてるみたいだし、辞めて良かったんじゃない。上層部がゴタゴタしてたんじゃ仕事に専念できんだろ。君達もオファーがあれば一考する価値はあると思うぞ。横山クンはどうだ!」

「そ、そんなぁ勘弁して下さいよ。折角慣れてきて、仕事の環境も整ったことだし、もっと続けます。それに、今、辞めて当時の編集3課レース係に推薦してくれた井尻部長の顔を潰す訳にもいきませんから」。井尻を前にしての発言だから、こましゃくれてはいる。もっとも本人は気を遣い真面目に喋っているのは間違いないが。

「それに、あの金山をギャフンと言わせた功労者だしな」。遠野がフォローすると「こうして美味しいものを飲んで食べられるのも皆さんのおかげだし、それより何より、まだまだ遠野さんに教えていただくことが沢山ありますから」.。殊勝な態度で答えた後「ぼつぼつ自分も冷酒をお願いします」と。

「あいよ」と親爺が席を立ち、新しい「八海山」とグラス2個を持ってきて横山と下川の前に置いた。すかさず両者の間に位置する梶谷が残っているボトルを取り上げ2人に酌をする。再び全員のグラスが満たされた所で乾杯の真似事でグラスを上げた。そこへ間八のカマの焼きが2皿届いた。デカイ!。早速、梶谷は自分の前のカマをほぐし始めた。働き者だ。

<梶谷さんの“ほぐし”は遠野さんと、その前の横山だな>と観念した刈田はもう一つの皿に箸を付けながら「それにしても、自分達はどうしたらいいんですかねぇ」。誰にともなく零す。「んなもん!何も考えるな。それぞれの仕事に専念すりゃあいいんだ。ただ、この件に関しては別部を含めた4人、誰の援護も非難もするな。普通にやってりゃいい」。最近の遠野にしては強い口調だっただけに全員が静かに耳を傾け、そして黙って頷いた。

一瞬の静寂を破ったのは親爺で「それにしてもよぉ。日韓はどうなるんだ。場外(市場)からすっかりハングルが聞こえなくなってるよ。とのさんはどう思う?」。またも周りは遠野の見解を聞くべく態勢に入った。

「どうにもならんよ。所詮、“親北反日”の文在寅と“従米嫌韓”の安倍の個人的な感情が大きな原因だろ。せめてテレビを中心にマスコミが冷静になってくれれば少しは沈静化するんだろうが、むしろ煽ってるもんな。どっちかが退陣しないことには“国交断絶”まで行くかもな。困ったもんだ」と嘆きつつ、梶谷がよそってくれた間八の焼き(カマ)を食べた。「旨い!」。美味しい酒と肴は心を和らげてくれる。

「ハンドルを握ると人格が変わるって言うけど、変なのが権力を握っちまうと周りが迷惑だよな」と親爺。

変なのが文在寅なのか安倍なのか、はたまた甘方か―。定かではない。


源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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