先週で函館開催が終了。函館開催リーディングには、最終週に4勝の固め打ちで猛追した岩田騎手を1勝差で抑え、吉田隼騎手がその座に輝きました。
ここで注目したいのは05年以来の函館本格参戦だった蛯名騎手との関係です。というのは、蛯名騎手と吉田隼騎手はもともとエージェントが同じ武山氏だったのですが、今年3月に蛯名騎手がその武山軍団から飛び出したからです。
これまでなら、エージェントの差配として実績的に上位の蛯名騎手にいい馬を回していたと思うのですが、いまはそういう忖度の必要がなくなった。それが吉田隼騎手の躍進の原動力となったのかもしれないからです。吉田隼騎手が16勝を挙げたのに対し、蛯名騎手は4勝しか挙げられなかったのが、それを物語っているのではないでしょうか。
蛯名騎手と吉田隼騎手が同じレースに騎乗した時の成績を比較してみると、以下の通り。
■蛯名騎手と吉田隼騎手が同じレースに騎乗したときの成績比較
15年
蛯名騎手:13勝、勝率9.8%、複勝率23.5%
吉田隼騎手:8勝、勝率6.0%、複勝率15.8%
16年
蛯名騎手:11勝、勝率8.7%、複勝率27.8%
吉田隼騎手:6勝、勝率4.8%、複勝率16.7%
17年
蛯名騎手:4勝、勝率3.6%、複勝率23.2%
吉田隼騎手:14勝、勝率12.5%、複勝率22.3%
昨年までは、蛯名騎手と吉田隼騎手が同じレースに騎乗すると蛯名騎手が圧倒していたのですが、今年は真逆の結果になっています。
それだけ、エージェントが騎乗馬を集める力が騎手の成績を左右しているということなのかもしれません。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。