前回のコラムで取り上げた中谷騎手は、先週も矢作厩舎のシンデレラボーイ(4番人気)で庄内川特別を制し2週連続の勝ち星を挙げました。中谷騎手と矢作厩舎のコンビは、これから馬券的にも目が離せない存在になりそうです。
今回注目するジョッキーは内田博騎手です。昨年暮れから内田博騎手特有のダイナミックな騎乗が影を潜め、どうも元気がない気がします。2011年に落馬負傷で大ケガを追っており、その影響で寒い時期は体が思うように動かないのかもしれません。
そうはいっても先週2勝を挙げ、今年はすでに5勝とキッチリと数字を残している。ただ、その裏にはエージェントの戦略的な営業が効果を発揮しているとみています。
先週もそれを感じさせる乗り替わりがありました。それは、菜の花賞で騎乗したペイシャフェリス(4番人気3着)です。もともと先々週のフェアリーSを丸山騎手で予定していたらしいのですが、運悪く除外。それを見て、同馬を管理する高市厩舎にすかさず営業をかけたようなのです。
○フェアリーS直前の追い切りでいい動きをしていたのを、しっかりチェック。
○翌週から中京が開幕するので、丸山騎手が乗れなくなる可能性がある。
といったことを普段からしっかり考えているからこそ、そういう営業ができるのでしょう。内田博騎手は昨年高市厩舎の馬には2鞍しか騎乗しておらず、つながりは浅いのですが、トップジョッキーから直々に乗せてくださいといわれて、嫌な気持ちになる調教師はいないはず。
こういう、エージェントのマメで戦略的な営業が内田博騎手の活躍を支えているのは間違いないでしょう。
エージェントの多くはトラックマンが副業でやっていることが多く、片手間でエージェントの仕事をやっていることが多いのですが、内田博騎手のエージェントは専業なので、必死さが違うといわれればそれまでかもしれませんが。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。