「2分20秒6」
芝2400mの日本レコードはおろか、世界レコードも1秒以上も更新するとんでもないタイムで決着した今年のジャパンC。日本の馬場造園技術もついにここまで来た!と、世界に誇ってもいいのではないでしょうか(笑)
おそらく、乗っているジョッキーも経験したことのない馬場だと思うし、適正なペースがどれくらいなのかもわからないので、どれくらい価値のあるタイムなのかはわかりません。ただ、ペースを握った川田騎手の冷静な手綱捌きが光った一戦だったというのは間違いないでしょう。
比較対象がないので推測になってしまうのですが、1000m通過の59秒9、1400m通過の1分23秒4というタイムはあの馬場を考えるとかなり遅いものだったと思われます。というのも、インの好位でレースを進めたスワーヴリチャードの挙動をみると、鞍上のデムーロ騎手は馬をなだめるのに必死だし、それでも勝手にポジションが上がっていっており、完全にスローペースの時に見られる挙動だったからです。
というわけで、ペースを握ったキセキの川田騎手も、このままのペースでレースを進めたら抜群の切れ味をもつアーモンドアイには勝てないと思っていたのでしょう。残り1000mを切ると自らペースを上げていったのです。
そうやって後続の馬の切れ味を奪うようなスパートを仕掛けてもなお、アーモンドアイの末脚が衰えることがなかったのですが、川田騎手のペース判断が名勝負を生んだことは間違いないでしょう。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。