逃げ馬を買う。これは馬券必勝法のひとつといってもいいでしょう。2018年逃げ馬を買い続けたときの成績は以下の通り。しかも、毎年プラスになります。
〇逃げ馬
勝率17.4%
複勝率39.7%
単勝回収率202%
複勝回収率140%
しかし、問題はどの馬が逃げるかがわからないということ。
前走逃げている馬を買えば、今回も逃げる可能性が高い。そう思って前走逃げている馬を買うと痛い目にあいます。
〇前走逃げた馬
勝率9.6%
複勝率25.8%
単勝回収率71%
複勝回収率71%
福永騎手が逃げを嫌うのは、1回逃げてしまうと馬がその気になっておさえが利かなくなってしまうからといいます。再び我慢を覚えさせるのが大変になるからだと。
また、逃げると不利を受けることはなくほぼ力を出し切れる。だから、好結果につながりやすいというのもある。そこで力を出し切ってしまうので、次走成績を落とす馬が多い。それが楽逃げなら、なおさらそう。だから、前走で逃げた馬は次走、成績が極端に落ちるのでしょう。
なので、逃げ馬の好成績の裏には、後方で揉まれて力を出せなかった馬が次走逃げる競馬ができて一変というケースが多い。
現在、毎年出させていただいている「政治騎手名鑑」を執筆していていろいろな騎手のデータを調べているのですが、不思議なことに田中勝騎手は真逆の傾向を示していました。
2018年、前走逃げていた馬に騎乗すると【3.2.1.22】単回率133%、複回率54%。ちょっと数が少ないので2016年まで広げても、【10.5.6.60】単回率149%、複回率95%。
外野からみると何も考えていないようにみえる騎乗ぶり。なので、前走後方から競馬をしたような前向きさに欠ける馬に騎乗すると、馬の気分に任せた競馬をするので、ついて回るだけの競馬になってしまうのでは。
しかし、逃げるくらいの行きっぷりのいい馬なら、それがちょうどいい塩梅になるのでしょう。
ひとつ注意したいのは、前走逃げているからといって今回も逃げるというわけではないという点。逃げていた馬を差し馬に変えて好走ということともあります。
19年1月5日京都金杯のマイスタイル(5番人気2着)がまさにこのケース。前走の中日新聞杯はスタート向かい風にも拘わらず大外枠から強引にハナへ。結果ハイペースとなってバテてしまった。今回は好位に控える競馬で2着に好走させました。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。