先週のフェブラリーSは、武豊騎手が騎乗したインティが逃げ切り勝ちを決めました。
しかし、勝ち馬以上の注目を集めたのが、藤田菜七子騎手とコパノキッキングのコンビだったのではないでしょうか。
女性騎手初の平地GⅠ騎乗で5着と健闘。普段、競馬の話題にはほとんど触れることのない地上波の番組まで、菜七子騎手の活躍を取り上げるほどで、競馬界を盛り上げるために欠かせない存在であるということを証明したと思われます。
同日の小倉では小倉大賞典が行われました。
デビュー以来、一度もハナを譲ったことがなかったマルターズアポジーがスタートで出遅れて最後方からの競馬になるという予想外の展開に。代わりに逃げることになった、14番人気の伏兵サイモンラムセスが3着に逃げ粘り波乱の決着となりました。
ここで注目したいのは、1番人気のタニノフランケルに騎乗し2着に入った川田騎手です。
というのは川田騎手が離れた2番手で逃げ馬を放置したことが、サイモンラムセスの粘りにつながったからと思うからです。
ただ、川田騎手にしてみれば、逃げ馬を潰しに行く役を買ってしまうと自分も苦しくなる。だから、離れた2番手で自分も逃げているのと同じような競馬に持ち込むのが正解でしょう。
そうなると、その後ろで競馬している騎手のプレッシャーが重要になってくるのですが、マルターズアポジーが出遅れるという予想外の事態にレースプランが狂った可能性もあります。
ただ、同日の9Rでも逃げ切ったメイショウワザシの番手にも川田騎手がつけており、自分も生きるために逃げ馬を可愛がって後続のプレッシャーも緩衝材になる特徴があるのかもしれません。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。