前回のコラムで取り上げた川島騎手は関屋記念でミエノサクシードに騎乗し2着でした。残り200mで手ごたえ良く先頭に並びかけ、勝利が目の前まで来ていましたが、最後の最後に1番人気のルメール騎手の強襲に逢ってしまった。ただ、いまの走りを維持できればそのうち重賞タイトルにも手が届きそうです。
今回注目するのは藤田菜七子騎手です。
コパノキッキングとのコンビで初重賞制覇に注目が集まったクラスターCは、惜しくも3着。
勝ったヤマニンアンプリメに騎乗していた岩田騎手の「菜七子ちゃんが勝つ予定だったんですけどすいません」というレース後のコメントが印象的ですが、レースぶりからは「簡単には勝たせないぞ」という雰囲気がビンビンに出ていました。
「おじさん2人が空気読まずにすいません(笑)」と語った(2着のヒロシゲゴールドに騎乗していた)武豊騎手も、コメントとは対照的にまったく空気を読む気はなかったのではないでしょうか。
というのは、3コーナー手前であえてインを大きく開けて、番手につけていた藤田菜七子騎手のコパノキッキングにコーナーで外を回らせようという意図が透けて見えたし。4コーナーを回って直線に向くか向かないかというタイミングで手前を替え、すかさず進路を外に取り、ここでもコパノキッキングを外に押すような騎乗をしていたからです。この影響で追い出しの態勢を作るのが遅れたことが痛かった。
ただ、これは喜ぶべきことではないでしょうか。日本を代表するジョッキーから本気で負かしにしかないといけないライバルだと認められているということだと思うからです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。