前回取り上げた柴田善騎手。先週は土曜福島メインのサンアップルトンで勝利。さすが「午後からの男」といったところでしょう。先週で今年の関東ローカル開催は終わりしばらく出番がないかもしれないですが、来年の春まで覚えておきたいです。
今回取り上げるのはマイルCSでレッドオルガ(15番人気9着)に騎乗し同期で一番早くGⅠデビューを果たした岩田望来騎手です。
岩田康誠騎手の息子ということで多くの期待を集めてのデビューだったのですが、期待に反して、初勝利は関西の新人騎手のなかでは最も遅かった。なかなか勝てなかったのは所属した厩舎が良すぎたからでしょう。
新人騎手に勝利をプレゼントしようと思ったら、ダートの短距離戦で逃げ切れそうな馬を用意する。これがよくあるパターンです。しかし、藤原英厩舎には芝の中距離馬がたくさんいても、未勝利や1勝クラスのダートの短距離を走れるような馬はいない。
というわけで、デビュー2週目には芝の特別戦に3鞍騎乗。さすがに難易度が高すぎます。人気のない馬ではなおさらです。
新人騎手の練習台として用意されたのは2勝クラスのコーカス。芝の中距離の特別戦で5着→3着→6着と勝つことはできませんでした。でも、こういう経験が積めるのは大きい。多くのジョッキーが乗りたくてもなかなか乗せてもらえない素質馬なのですから。
そういう経験が活きたようで、7月以降の勝ち星では今年の新人騎手のなかでトップ。しかも(地方も含め)通算31勝に達し、マイルCSに騎乗することもできた。
ハンデ戦ではない中央場所の特別勝ちも(壬生特別メジェールスー4番人気1着)あり、どうやら英才教育は順調にいっているようです。
11月は先週(17日)まで【6-5-1-31】勝率14.0%、複勝率27.8%、単勝回収率113%、複勝回収率84%とブレイクを予感させる活躍ぶり。京都で一流騎手相手に達成した数字ですし、内容的にもケチの付けようがありません。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。