今年これまでGⅠレースで2着4回、3着4回と常に好勝負を演じながら、なかなかタイトルに手が届かなかった川田騎手(地方交流のGⅠを2勝していますが……)。先週のチャンピオンズCをクリソベリルで勝利し、ようやく栄冠をつかむことができました。
その騎乗ぶりを振り返ってみます。これまでの5戦はすべて楽勝で揉まれる経験や砂を被る経験がほとんどなかったのですが、逃げたインティの直後のインというモロに砂を被るポジションを獲りに行きました。
しかし、パトロールフィルムを見ると、インティは内目を避けて競馬をしており、クリソベリルはラチ沿いギリギリを走ることで砂を被らずに済んでいる。川田騎手は前走インティに騎乗しクセを知っているので、コーナーワークがぎこちなくラチ沿いに馬を寄せて競馬することができないと予測してその作戦を考えたのかもしれません。
砂を被った経験のない馬に砂を被るような競馬をさせることは勇気がいるし、それがGⅠの大舞台となればなおさらでしょう。
しかし、いまの中京のダートは内目が浅いのか外を回って勝ち負けするのは難しい。というわけで勝つためにはそういうリスクをとることも重要で川田騎手の戦略の勝利ともいえるのではないでしょうか。
これでつかえたものが取れ、これからGⅠをどんどん勝てるようになるかもしれません。今週以降のGⅠでの騎乗ぶりにも注目したいと思います。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。