今回注目したいのは松山騎手です。
先週はきさらぎ賞を含む4勝の固め打ち。20代で唯一のリーディングトップ10ジョッキーです。
コルテジアで勝利したきさらぎ賞を振り返ってみると、この時期の3歳限定の重賞にありがちな事情がプラスに作用したような気がします。
というのは、この時期はクラシックを目指す素質馬が顔を合わせることになるのですが、そうなるとどうしても脚を溜めてどれだけの脚を使えるか試すような競馬になりやすい。きさらぎ賞で圧倒的な1番人気に支持されたアルジャンナもそういう競馬で脚を余して3着という結果になってしまいました。
一方で、松山騎手はそういうレースで他とは性質の違う競馬をするのが得意な印象。具体的にいうと前で粘る競馬をするということです。
今回も3番手でレースを進め直線で後続につけたリードを上手く活かし切った。思えば、昨年のきさらぎ賞もブービー人気のランスオブプラーナで逃げて3着に粘っています。
そして、重賞制覇以上に注目すべきなのはエルフィンSを制したデアリングタクトとのコンビではないでしょうか。
いまの京都のタフな芝で1.33.6秒の勝ちタイムは優秀だし、ラスト3ハロンのラップは12.0秒→11.7秒→11.4秒とゴールに向かうにつれ加速しており、抜け出してからは流し気味ということ考えるとかなり余力を残しての勝利といえそう。さらに、風も大きな影響のある強い風ではなかったとはいえ、直線向かい風だったので、ますますラップの価値は高くなりそう。
さすがにこれだけの素質を秘めた馬だと他とは違う競馬はできないと思うので、次走以降どういう騎乗を見せてくれるのか楽しみです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。