新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、先週の競馬は無観客で行われました。家のテレビで中継を見ている限りは普段と変わらない景色に見えましたが、気になるシーンもありました。
阪急杯でゴール入線後、ダイアトニックに騎乗していた北村友騎手に進路を塞がれた川田騎手が「ユーイチ!」と荒げた声がマイクに拾われたからです。
勝った浜中騎手が怒声に驚き思わず振り返るシーンまで映っていました。レース中の事故を回避するために騎手同士で声を掛け合うことはあると思いますが、この時はゴール入線して勝負が決したあと。突然の大声に馬が驚いて事故を引き起こさなくってよかったと思うと同時に、実際に驚くのは馬ではなく人のほうだという発見がありました。
ただ、ファンファーレに合わせて奇声を上げるオイオイと呼ばれる行為や、ゴール前で紙吹雪を投げるような迷惑行為は馬の能力を発揮できなくしたり、大きなアクシデントに繋がったりする可能性があるので、慎むべきというファンの声は根強い。なのに、範を示すべきジョッキーがそれに近い行為をしてしまったのは、良識派のファンがいくらマナー向上を訴えても、その説得力が失われかねないと危惧しました。
無観客開催だったからこそファンの耳に届いただけで、日常的にある行為なのかもしれないですが……。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。