先週の土日の中山は強い南風が吹き荒れる中での開催となりました。上がりの速い決着が多かったのは直線が追い風になるからで、風の影響と考えられます。
今回注目したいのは、ミルコ・デムーロ騎手です。
というのは風の影響を考えた乗り方を徹底していたように見えるからです。
直線は追い風の恩恵で速い脚を使えるが、向こう正面は向かい風になるので脚の消耗が激しい。だから、どのレースも後方に下げ、直線で外から追い風を受けていい脚を使えるようなレースをイメージしていたと思われます。
土曜の2レース(ダ1200m)では、前走ハイペースで逃げて粘って3着のツキマデトドケに騎乗。しかし、スタートから全く行く気を見せず、中団からの競馬を選択し8着でした。同日の8レース(ダ1200m)で騎乗したマリアルージュも逃げ先行タイプの馬。こちらも出遅れ気味のスタートで中団からの競馬を選択(結果は3着)。このように、馬の脚質関係なしに後方からレースを進めていた。
ただ、土曜は2勝と一応の結果を出せましたが、日曜は1~3番人気の馬に4鞍騎乗しながら0勝。向こう正面でペースが一気に落ちて、向かい風の中マクって上がっていくシーンも多く、なかなか思い通りのレースができなかったよう。
最近はレース実況でも風の向きや強さに触れることが多くなっているし、風を意識した騎乗をする騎手が増えているのではないでしょうか。風向きに合わせてうまくペースが調整されていたので、デムーロ騎手の風対策が不発に終わったような気がします。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。