先週の新潟記念は福永騎手が騎乗したブラヴァスの勝利でした。
サマー2000シリーズのチャンピオン決定戦で、優勝の可能性があった3頭のうちの一頭だったので、順当な結果だったのかもしれません。
今回は、その新潟記念でジナンボーに騎乗し惜しくも2着だったデムーロ騎手に注目してみたいと思います。
というのも、好騎乗だったという声も多いですが、そうじゃないという意見も多く、賛否が分かれていたからです。
先に結論をいうと、筆者はそのどちらでもなくて、ジナンボーは昨年の新潟記念も2着だったので馬の力通りの騎乗というのが一番正解に近いと思っています。
そのジナンボーの騎乗を振り返ってみると、序盤は最後方近くで競馬を進めましたが、ペースが遅いと見るや、荒れた内から一気にポジションを上げ、直線に向くときには逃げたウインガナドルを交わし先頭に立つ。直線は馬場のいいところを求めて徐々に外に持ち出してったという感じ。
ただ、新潟開催後半の芝外回りにおけるデムーロ騎手は、毎回のように皆が避けたインを通っており、成功率も低かった。新潟2歳Sでも一頭だけインを回る競馬をしたのですが、5着(シュバリエローズ4番人気)という結果で、その騎乗に対しては批判も多かった。
というわけで、新潟記念の騎乗は、流れや相手の出方を読んで執った作戦ではなく、いつもの騎乗をしただけではないでしょうか。
上手くいかなかったレースを見てみると、その多くがハイペースや縦長の馬群になったもの。荒れたインを通って速い脚を使う必要が出てくるので、そこでの消耗が激しくなったと想像できます。
新潟記念はスローの一団の馬群でのレースになったので、荒れたインを回ったといってもペース自体が遅いので消耗は少なく、3、4コーナーで最短距離を回れる利点のほうが大きくなったといえるのではないでしょうか。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。