前回のコラムでは東西の騎手の勝ち星の格差について考えました。
田辺騎手も今年勝ち星を減らしそうな勢いですが、その原因のひとつといえそうなのが関西馬での勝ち星の減少です。
〇関西馬での成績
18年:15勝(116鞍)
勝率12.9%
複勝率29.3%
単勝回収率130%
複勝回収率88%
19年:8勝(87鞍)
勝率9.2%
複勝率25.3%
単勝回収率115%
複勝回収率77%
20年:3勝(75鞍)
勝率4.0%
複勝率21.3%
単勝回収率32%
複勝回収率63%
緊急事態宣言が出されていたときに東西の移動制限がかかり、それによって関西馬が関東の主場へ遠征できなくなりました。
今ではその解除されていますが、制限の解除後も以前の供給量には戻っていません。それがボディーブローのように効いているのかもしれません。
それ以外で気になる点は栗田厩舎との関係です。
〇栗田厩舎での成績
18年:8勝(26鞍)
勝率30.8%
複勝率38.5%
単勝回収率103%
複勝回収率64%
19年:10勝(30鞍)
勝率33.3%
複勝率56.7%
単勝回収率137%
複勝回収率96%
20年:1勝(15鞍)
勝率6.7%
複勝率20.0%
単勝回収率70%
複勝回収率44%
田辺騎手を絶対的なエースとして起用してきた厩舎からの依頼の減少は気になります。
今年挙げた虎の子の1勝はシャインガーネットで勝った重賞のファルコンステークスなので、めぐりあわせが悪いだけかもしれませんが……。
月曜に盛岡競馬場で行われた南部杯では、栗田厩舎と田辺騎手のコンビで挑んだアルクトスが勝利しました。昨年2着の雪辱を晴らしただけでなく、勝ち時計は驚異の1.32.7秒という速いものでした。
アルクトスも昨年のこのレース以降はなかなか期待に応える走りができなかったのですが、ここでようやく嚙み合った印象。田辺騎手もこの勝利がいい弾みとなるのではないでしょうか。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。