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競馬コラム

樋野竜司:今週の政治騎手

2020年11月27日(金)更新

【M・デムーロ騎手】仏の顔も三度までというが……



ローテや鞍上を決めるのは、本来は調教師の専権事項。ただ、最近は馬主の言いなりで治外法権状態になっている厩舎も少なくない。

そんな中で堀調教師は主権を保っている数少ない調教師のひとり。

だから、周りの顔色を伺うことなく、自分が乗せたい騎手を起用できるのでしょう。そういう意味で、いまデムーロ騎手の最大のサポーターになっている。

11月21日、22日、23日の3日間開催は堀厩舎とのコンビで汚名を返上するチャンスだったのではないでしょうか。

11月21日の東京6Rでは、名牝ブエナビスタの仔ブエナベントゥーラに騎乗。しかし、レースは直線に向くと持ったまま追うことなくズルズル後退し8着。どうやら鼻出血を発症したよう。さすがにこれは運がなかった。
11月22日はマイルチャンピオンシップでサリオスに騎乗。大外17番枠を引いた時点で不吉な予感があったのですが、好位勢が上位を占めるなか、後方から大外回って追い込むも5着まで押し上げるのが精一杯だった。
直接香港に向かう選択肢もあった中、毎日王冠で手綱を握ったルメール騎手が騎乗できないマイルチャンピオンシップに向かうことを決めたのは堀調教師だと思うので、GⅠの有力馬に跨れるチャンスに結果で応えることができなかったのは痛い。
ただ、翌11月23日にも堀厩舎からの依頼がありました。東スポ杯2歳ステークスにレインフロムヘヴンで挑んだのです。
前走もたれる面を見せたので、再度ブリンカーを着用してのレースだったのですが、前走のもっさりしたスタートとは一転、好スタートを決めると掛かり気味にハナへ。今度はうまく折り合うことができず大逃げの形になってしまう。結局、直線バテて8着。取り返すどころか、ますます傷口を広げる結果となってしまいました。

鼻出血のアクシデントや大外枠など運に見放された面もあったかもしれないですが、これで堀先生からも見放されたら、ますます苦しい立場に追い込まれてしまいそう。
復調にはまだまだ時間がかかりそうです。

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樋野竜司

HINO RYUJI

1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。

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