春の中山開催の開幕を告げる名物レースの中山記念は、松山騎手が騎乗したヒシイグアスが快勝しました。
阪神で行われた阪急杯を制したのが前走松山騎手が騎乗していたアグリだったのに、そちらではなく中山まで遠征してヒシイグアスに騎乗したのは、こちらのほうの勝算が高かったからでしょうか。
デビュー時所属していた池添兼雄厩舎も師の定年によりこの日限りで解散。師匠の最後の瞬間にも立ち会いたかったと思うのに、遠征を選択したのは、それだけ強い思いがあったのかもしれません。
ヒシイグアスが宝塚記念以来の8ヵ月振りの実戦だったとはいえ、5番人気で単勝9.2倍というオッズは、終わってからみると美味しいように思われます。
一昨年のこのレースの勝ち馬で、前走はGⅠ2着。1年以上ぶりの実戦を勝ったこともあり鉄砲も得意。なのに、ここまで人気を下げたのは戦前の報道にあったのではないでしょうか。
というのは、宝塚記念の後に、重度の熱中症になり生死の境をさまよったという報道が人気に多分に影響を与えたように思うからです。
ひねくれた筆者は、宝塚記念の直後ではなく、いまニュースとして取り上げるということは、中山記念を美味しいオッズで買いたい関係者があえてネガティヴな情報を強調して流したのではないかと勘繰ってしまいます。
レース前の泣きの情報に惑わされないようにしなければと思いました。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。