今回はドバイワールドカップをウシュバテソーロで制した川田騎手に注目したいと思います。
レースはサウジカップを逃げ切ったパンサラッサが大外枠から何が何でも逃げる構えでハナを主張しましたが、前走のレースぶりが鮮烈だっただけに、簡単にハナを譲ってもらえず序盤から激しい流れのレースになりました。
道中も海外馬によるパンサラッサのマークは厳しく、息の入らない展開となり最後方で脚を溜めていたウシュバテソーロが3コーナー過ぎから徐々に進出、直線で溜めていた脚を弾けさせました。
川田騎手は、日本では先行策を選択する割合が5割以上で、筆者はそれを徹底先行主義と呼んでいるのですが、海外で騎乗するときは全然違う騎乗をする印象があります。
日本では大半の条件が先行有利で、前に行くことが勝利への近道ですが、世界のトップホースが集うダートの最高峰のレースになると、ハイペースの消耗戦になることが大半。強い馬はそういう競馬になっても押し切れるから強いといえるのですが、勝つ確率を高めようと思ったら、先行争いには付き合わないほうがいい場合が多いと言えます。
川田騎手もそういう考えなのか、意識して待機策を選択している印象です。昨年のドバイワールドカップで3着に好走したチュウワウィザードも最後方からの競馬でしたし、レッドルゼルでのレースぶりもそう。
そういう狙いが実を結んだのが、今年のドバイワールドカップだったといえるのではないでしょうか。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。