先週の桜花賞は川田騎手が騎乗したリバティアイランドが圧倒的な人気に応え勝利しました。
レース後、JRAの公式YouTubeにアップされた川田騎手の目線カメラ(ジョッキーカメラ)の映像が話題を集めたので、今回はそれについて語ってみたいと思います。
大きな話題を集めたのは、普段見ることができない騎手からの視点でレースの臨場感を体感できたことに尽きると思いますが、いろいろ好条件が重なったと思っています。
というのは、リバティアイランドが後方から豪快に直線一気を決めたので映像的に見栄えのするものになったからです。逃げ馬にカメラをつけて逃げ切ったらスタートからゴールまでコースの紹介映像を見せられるだけになってしまいますし、逆にバテて馬群に飲み込まれるシーンがコンテンツとして面白くて爽快感のあるものになるかといわれると疑問。その意味で、リバティアイランドはこれ以上ない適役だったからです。
これだけ話題を集めたので、この後のGⅠでもこの企画を続けていただけると思うのですが、それで筆者が感じたことを2点挙げたいと思います。
ひとつはファンの視点です。
これまでにはなかった視点が増えたことで、レースの見方が変化するのか気になっています。やはり、逃げてバテて馬群に飲み込まれるのは忍びないので、スローでも脚を溜めて直線勝負に賭けたほうがいいというジョッキー心理が共有できるようになるかもしれない。これまでどおり前に行って脚を余さず競馬してほしいというファンの声が薄まるかもしれないと感じました。
もう一つは、どの馬にカメラが付くのかという点です。
先ほども述べたとおり、コンテンツとして面白いものにしようと思った場合、差す競馬で好走確率の高い馬にカメラを装着するのがベター。JRAが考える、それにふさわしい馬はどれか、パドックでジョッキーのヘルメットを見てカメラの有無を確認することで知ることができるのではないかと感じたからです。
というわけで、これからどういう人馬にカメラが付くのか、今回だけの特別なものだったのか気になっています。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。