オークスで圧倒的な人気が予想されるリバティアイランドに騎乗する川田将雅騎手が、共同記者会見でファンへの異例の呼びかけを行いました。
その内容は、「ゲートが開くまで声援を我慢していただき、ゲートが開いてから全力で盛り上がってもらえればと願っています」というもの。これは、一体何を指しているのでしょうか。
昨年のオークスを思い出してみましょう。
サウンドビバーチェが発走直前に他の馬に蹴られ、放馬するという事故が起こりました。これによりレースの発走が定刻から15分遅延し、サウンドビバーチェ自身も顔部挫創を発症し競走除外となりました。
また、1番人気のサークルオブライフは、レース前の長時間の待機によりイレ込み、出遅れるという形で期待を裏切る結果となりました。このようなアクシデントが川田騎手の呼びかけにつながった可能性があります。
同時に、川田騎手が騎乗するリバティアイランドが繊細な馬であることも一因かもしれません。
レース前の興奮状態が出遅れなどのアクシデントにつながり結果に影響を及ぼす可能性があると認識しているために、そのような呼びかけをしたのかもしれないからです。
競馬はすべての馬が力を出し切ることが理想ですが、日本の競馬は馬券の売り上げで成り立つエンターテイメントでもあります。
だからこそ、川田騎手のような呼びかけは、ファンだけでなくJRAに対しても行われるべきかもしれません。
例えば、ファンファーレを廃止し、映画上映前のマナームービーのようなものを流すというアイデアもあります。もちろん、これらの対策を実際に行うかどうかは、しっかりとした議論を経る必要がありますが。
とにかく、川田騎手がこのようなお願いを行ったという事実から、オークスを勝つというミッションは彼にとって非常に難しいものであることが伺えます。下馬評ほどの楽な勝負ではないのかもしれません。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。