今週はいよいよダービーです。
共同記者会見では、1番人気と予想されるソールオリエンスに騎乗する横山武史騎手が、「勝ちたい」と4回も発言しました。ダービーに対する彼の強い思いが伝わります。
一昨年のダービーでは、皐月賞を制したエフフォーリアで挑みましたが、ハナ差の2着に終わりました。その敗戦が騎手人生に残る悔しさとなり、横山武史騎手は今もそのダービーの映像を見ていないと言うほどです。しかし、その悔しさを晴らす機会が再び訪れたため、彼の思いが強くなるのは当然でしょう。
ソールオリエンスの前走である皐月賞を振り返ると、不運にも重馬場となり、1000m通過は58.5秒というハイペースでした。
ソールオリエンスは、後方から無理せずにレースを進め、4コーナーでは外に飛び出す悪癖を見せつつも、大外から一気に加速しました。最終3Fのタイムは2位の馬に0.9秒差をつけるなど、力の違いを証明した形です。
ただし、筆者は、横山武史騎手の父である横山典弘騎手が初めてダービーを勝った2009年の皐月賞を思い出しました。
2009年の皐月賞もハイペースでレースが進行し、1番人気のロジユニヴァースに騎乗した横山典弘騎手は先行するもののバテてしまい、14着という結果に終わりました。しかし、その後のダービーでは見事に巻き返して勝利を果たしました。
ダービーでは先行馬に有利な展開が多いため、同様の展開となるとソールオリエンスにとっては不向きな流れが予想されます。
ただし、父が騎乗するトップナイフや兄の横山和生騎手が騎乗するベラジオオペラは先行する脚質を持っています。これにより、父と兄がアシスト役となり、レースのペースをうまくコントロールする可能性もあります。
横山武史騎手がダービーで勝利し、悔しさを晴らすことができるのか、またどのようなレース展開になるのか楽しみです。
「競馬成駿」はコチラ!
樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。