先週の菊花賞はルメール騎手が騎乗したドゥレッツァの圧勝劇でした。
未勝利戦を勝ってから5連勝でノンストップでのGⅠ制覇。何よりも印象的だったのは、不利といわれる大外枠から積極的に前に行って、1週目の坂の下りでハナを奪ったことです。この騎乗ぶりを見て筆者は、セイウンスカイを思い出しました。
というのも、ドゥレッツァとセイウンスカイの菊花賞での勝ちタイムはほぼ同じで、1000mごとのラップ構成も似ているからです。
セイウンスカイも大逃げに持ち込んで、後続にハイペースと惑わせることに成功し、実は直線まで余力をたっぷりと残していて、それはドゥレッツァも同様だったからです。
ドゥレッツァ
3.03.1秒
60.4秒→64.1秒→58.6秒
セイウンスカイ
3.03.2秒
59.6秒→64.3秒→59.3秒
ルメール騎手も強引にハナを奪い後続にハイペースに持ち込んだように見せかけて後続のマークを甘くすることに成功。向こう正面では死んだふりまでして、余力を十分に残した騎乗ぶりには脱帽するしかありません。
あと、気になったのはジョッキーカメラの映像です。
タスティエーラとサトノグランツの馬上からの映像がYouTubeのJRA公式チャンネルにアップされているのですが、それをみると後方のポジションの馬が前の攻防を見極めるのは難しいだろうということです。
しかも、向正面では田辺騎手のパクスオトマニカがドゥレッツァと馬体が合わないように外に大きく持ち出してハナを奪っており、そっちに目が行ってますますルメール騎手の存在が見えにくくなったのではないかと感じました。
そこまで狙っていたかはわかりませんが、見事な騎乗だったことは間違いないでしょう。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。