先週の天皇賞・秋では1.55.2秒というとんでもないレコードが飛び出しました。
現役世界最強のイクイノックスと馬の能力を信じて強気な騎乗をしたルメール騎手だけでなく、1000m通過57.7秒という締まったペースで逃げた藤岡佑騎手とジャックドールも、レコードの立役者といっていいのではないでしょうか。
競馬に絶対はないとはいえ、ジャックドールでイクイノックスに先着するのは不可能に近いと思うのに、SNSを見ると藤岡佑騎手の騎乗ぶりに対する感想が多く寄せられていたのが気になりました。
それも、いくらなんでも飛ばし過ぎだとか、藤岡佑はよく逃げたといった感じで内容も様々。実は人気のあるジョッキーなんじゃないかと思ったからです。
ハイペースがたたってシンガリに沈んでしまった馬の騎乗ぶりを、ここまでクローズアップされることは凄く珍しいことだと思うからです。
というわけで、今回は藤岡佑騎手に注目してみたいと思います。
藤岡佑騎手といえば、51キロ以下の馬に騎乗しないので、実は減量に苦労しているジョッキーなのかもしれません。
ただ、今年から斤量規定が変更となり斤量が騎乗の制約となる可能性は減りました。それが藤岡佑騎手にプラスに働いているのか見てみましょう。その効果なのか、今年は52キロの斤量に騎乗していません。
◎23年斤量別成績
53キロ:
勝率18.8%、単勝回収率131%、複勝回収率192%
54~55キロ:
勝率11.6%、単勝回収率65%、複勝回収率67%
56~57キロ:
勝率7.1%、単勝回収率66%、複勝回収率93%
57.5キロ~:
勝率20.0%、単勝回収率121%、複勝回収率112%
※データは23年10月9日現在のもの
斤量の軽い馬に騎乗するときは、それだけ脈のある馬だから依頼を受けると考えるべきではないでしょうか。藤岡佑騎手が53キロの馬に騎乗してきたら迷わず狙うべきです。
さらに、普通は斤量が軽いほうが有利なのですが、藤岡佑騎手の場合斤量の制約の少ない思い斤量のほうが伸び伸び競馬できるのかもしれません。
今年59キロの馬に2鞍騎乗してどちらも連対しています(大沼ステークスのセキフウ8番人気2着、ポラリスステークスのオメガレインボー4番人気1着)。
どちらもハンデ戦ではなく別定戦なので、人気もありません。というわけで、重い斤量で人気を落としている馬に藤岡佑騎手が騎乗してきたらむしろ狙いと覚えておきたいところです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。