ともかく幸運に恵まれることが多い藤岡康騎手、「持っている男」です。
古くは赤木騎手の落馬負傷で急遽回ってきたオースミスパークで小倉大賞典を勝ったり、福永騎手のケガで神戸新聞杯のワグネリアンが回ってきたり、津村騎手が先約で騎乗できなかったウーマンズハートで新潟2歳Sを制したりと、数々の強運伝説を持っています。
22年9月にコリアカップに騎乗するために韓国に遠征(セキフウ3着)した際、イギリスからコリアスプリントに出走するために遠征していたアナーフの鞍上のD.イーガン騎手が騎乗できなくなり、白羽の矢が立ったのが藤岡康騎手。急遽コリアスプリントにも騎乗することになったのです。結果は7着でしたが、やっぱり何かもっている!
先週のマイルチャンピオンシップでは、ムーア騎手の落馬負傷で急遽ナミュールに騎乗することになった藤岡康騎手が鮮やかな直線一気を決めて勝利しました。「持っている男」が本領発揮です。
ムーア騎手から藤岡康騎手への乗り替わりは鞍上強化とはさすがにいえないですが、藤岡康騎手のレースぶりの特徴を考えるとレースにマッチする可能性は高かったと思います。
というのは。藤岡康騎手は「消極的」で「外に出す」という騎乗スタイル。この日の京都は終日南西の強い風が吹いており直線は追い風。先行争いが激しくなって、積極的な松山騎手や西村淳騎手が前にプレッシャーを与えるような競馬をすれば道中ペースが緩むこともなさそう。そうなれば直線外持ち出した馬の切れ味が増すはずで、藤岡康騎手は自分の持ち味を活かし切ったといえます。
騎乗のチャンスが回ってくるだけではなく、レースの流れまで自分のモノにしてしまう。持っているなあと思いました。
「競馬成駿」はコチラ!
樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。