前回取り上げた川田騎手、先週はジャンタルマンタルで朝日杯フューチュリティステークスを制し、さらに4勝を挙げる活躍を見せました。先週終了時点での勝率は30.4%で史上初の年間勝率3割ジョッキーの誕生がかなり現実味を帯びて来たといっていいでしょう。
今回取り上げたいのは、その朝日杯フューチュリティステークスで2番人気のシュトラウスに騎乗したものの、10着と期待を裏切ってしまったマーカンド騎手です。
物議を醸したのはその騎乗ぶりでした。
スタートでは出遅れたものの、馬に行き脚がつくと一気に加速してハナを奪う競馬となってしまったからです。もともと折り合い面に課題があってそれをどうコントロールするかがカギだったのに、暴走に近い競馬になってしまいました。
ただ、筆者が気になったのはちゃんと陣営の作戦の意図が伝わっていたか?ということです。
レース後のコメントでも、指示通りの競馬が出来なかったというような反省の弁はなかったからです。
それがファンの怒りに油を注いだ感じになったのですが、コメントのなかに「馬をリラックスさせることはできた」という表現があり、折り合いに気を付けて欲しいという意味で、馬が力ませずリラックスして競馬欲しいという指示を、馬の気分に任せてリラックスさせて競馬して欲しいというように受け取ったから、こういうような結果になったような気がしてならないのです。
今週は待ちに待った有馬記念が行われますが、そこでマーカンド騎手は、初めてブリンカーを着用するディープボンドに騎乗します。
戦前の報道で「大逃げしたい」という話をしたという噂もありますが、これも馬の持ち味を活かすために「ロングスパート」するといったニュアンスの言葉がトランスフォームしてしまったのかもしれません。
マーカンド騎手がどういうレースを見せてくれるかも注目点の一つと思います。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。