先週の日曜3R(ダート1700m)を大差で圧勝したモンドクラッセ。勝ち時計の1分44秒5は、同日の500万下より1秒速く、1000万下よりもコンマ5秒速い極めて優秀なタイムでした。
ただ、この圧勝劇には岩田騎手の好判断が欠かせなかったとみています。というのはスタートで出遅れ、気合をつけながら出していったのですが、行き脚がつくと、今度はぐんぐんポジションを上げ、一気に先頭に並びました。初ダートだったのでどれくらい走る馬なのかわからないし、普通はこんなペースいって最後まで持つわけない。
だから、思い切り馬を引っ張って、なだめようと試みたのです。しかし、あまりにも馬の推進力がスゴイので、すぐに方針転換をし、引っ張ることを諦めて馬の気分に任せたことが、前述の圧勝劇につながったに違いないからです。
馬のスピードが抜けているだけなのに、それを引っかかる馬と思い込んで、引っ張り倒し、馬のパフォーマンスをそぎ落としているケースは意外と多い。ただ、スプリンターをマイルよりも長い距離で、スピードに任せた競馬をしたところで好結果は得られないので、馬のリズムを尊重していれば、常に正解というわけでもありません。
そういう意味で気になったのは、函館記念での秋山騎手のグラッデッツァの騎乗です。都大路Sでは、ハイペースで流れたにも関わらず、馬の行きっぷりに任せて2番手から競馬を進めました。ただその判断が正解で、日本レコードで圧勝。
そういう前例があったので、函館記念も、都大路S同様、馬の行きっぷりに逆らうことなく2番手から競馬を進めました。しかし、グランデッツァは1800mでしか勝ったことがなく、距離が長かったのか、手応えよく直線に向いたものの失速して、10着に敗れました。
秋山騎手は、馬のリズムを尊重して乗ることを優先するジョッキーですが、そういいながらも後ろで溜めて末脚を活かす騎乗を選択することが多い。グランデッツァは能力が高いことを自分が一番よく知っているから、馬が行きたがっているとは判断しなかったと思うのですが、それがリズムにあった騎乗だったのか? 競馬の難しさを感じました。
【秋山真一郎騎手の騎乗予定】
:土日ともに札幌で計9鞍に騎乗。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。