先週のコラムでは川田騎手に注目しましたが、今回は、その川田騎手のマークに苦しんでいたルメール騎手に注目したいと思います。
というのも、先週は川田騎手とは別の競馬場で騎乗したため、川田騎手からマークされる心配がなかったからです。
日曜のメインレース、スプリングステークスを1番人気のシックスペンスで圧勝し、今年の重賞初制覇を果たしました。それだけでなく、土日で7勝の固め打ちも達成しています。
ここで注目したいのは、スプリングステークスでのシックスペンスの勝ちっぷりです。
ラスト2ハロンを10.9-10.8秒という驚異的なタイムで走破しただけでなく、加速ラップを刻んでいることが特筆すべき点です。おそらく中山芝1800mでここまで速い上がりの記録は見当たらず、最速記録の可能性が高いでしょう。
しかも、直線で楽々と抜け出し、ゴール前は流して記録したので、追えばもっと凄い記録になっていたかもしれません。
ただし、いくつか考慮すべき点もあります。
まず、相手に恵まれたこと。次に、1000m通過が63.1秒というスローペースだったこと。さらに、当日は直線が強い追い風となっていたため、風の恩恵も大きかったと考えられます。これらの条件を踏まえると、このレースの価値をどれくらいに評価すべきか、判断が難しいところです。
ルメール騎手は皐月賞でレガレイラに騎乗する先約があるため、もしシックスペンスが皐月賞に向かうことになれば、誰が騎乗するのかも気になるところです。
シックスペンスの圧勝劇は、皐月賞をより楽しみにさせてくれました。ルメール騎手がこの調子を取り戻し、川田騎手に一矢報いることができるのか。春のクラシックシーズンが一層熱くなりそうです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。