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競馬コラム

樋野竜司:今週の政治騎手

2024年05月03日(金)更新

【武豊騎手】好・感・触



先週の青葉賞を制したのは、2番人気のシュガークンに騎乗した武豊騎手でした。

勝利ジョッキーインタビューでこの馬の良さを聞かれた武豊騎手の答えは「血統です」。

半兄はGⅠ7勝のキタサンブラックで、父はキタサンブラックと同期のダービー馬、ドゥラメンテという良血馬。ダービーでも期待が持てる血統的な背景があるのです。

レースぶりに注目すると、前走の大寒桜賞は、あいにくの重馬場でのレースになったものの、逃げて上がり2位の脚を使って後続を完封し完勝。
しかし、逃げた競馬をしたあとは、行きっぷりが良くなる半面、スタミナの消耗が激しくなって直線での粘りが甘くなることがよくあります。もっといえば、揉まれる競馬になると嫌気がさして戦意喪失ということも珍しくありません。それがレース前の課題でした。

青葉賞では、好スタートから先手を窺いましたが、外からパワーホールがハナを主張してきたため、ここで競り合っても利はないと好位に控える競馬を選択。直線に向いたところでは、包まれて進路がなかったのですが、外の馬を押して進路を確保すると、ショウナンラプンタの追撃をクビ差おさえて勝利しました。

前走逃げ切った馬が、好位に控える競馬でも勝てたというのはダービーに向けて大きな収穫。ゴール入線後、白い歯のこぼれていた武豊騎手もこのレースを勝利したうれしさだけではなく、ダービーでの期待も大きくなったからではないでしょうか。

それを証明するように、レース後すぐに、シュガークンとダービーでコンビを組むことが発表されました。
いろいろな選択肢のあるトップジョッキーはギリギリまでどの馬に乗るか悩みたいもの。この早い決断は手ごたえの証拠だと思います。

武豊騎手とシュガークンのコンビは、青葉賞での勝利で弾みをつけました。良血馬であり、逃げても先行しても結果を出せる器用さを持っています。ダービーでは、この馬の持ち味を存分に発揮できるでしょう。

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樋野竜司

HINO RYUJI

1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。

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