先週の宝塚記念は、3番人気のブローザホーンが、菅原明騎手の巧みな騎乗により見事な勝利を収めました。
レース当日は、前夜からの雨で重馬場となり、開催最終週ということもあって馬場は内が荒れ外を回る馬に有利な馬場状態でした。さらに、直線での追い風も加わり、外を回す差し馬にとって絶好のコンディションとなりました。
この条件下で、重馬場を得意とするブローザホーンは8枠12番という外枠を引き当て、まさに天の配剤とも言える恵まれた状況でレースに臨みました。
鞍上の菅原明騎手にとっても、この勝利は待望のGⅠ初制覇となりました。
菅原騎手は差し競馬を得意とし、特に雨で渋った馬場での手腕に定評があります。実際、彼のデビューからの成績を見ると、良馬場での単勝回収率が71%なのに対し、渋った馬場で跳ねあがる。馬場状態別のデータを見るとこうなります。
■菅原明騎手の芝馬場状態別単勝回収率
良 :71%(勝率7.4%)
稍重:130%(勝率9.4%)
重 :129%(勝率10.7%)
不良:113%(勝率4.3%)
※デビューから24年6月23日まで
しかし、この勝利を単なる条件の恩恵と片付けるのは適切ではないでしょう。むしろ、自身の能力を最大限に発揮できる条件を引き寄せ、それを確実に結果に結びつける力こそが真の実力と言えるのではないでしょうか。
ブローザホーンと菅原騎手のコンビネーションは、まさにその真価を発揮し、見事な勝利を掴み取ったのです。今後も、彼らの更なる活躍に期待が高まります。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。