先週の函館記念は、岩田康騎手とホウオウビスケッツのコンビが見事な勝利を収めました。
巴賞に続く連勝で、ホウオウビスケッツにとって初の重賞タイトルとなりました。
近年、息子の岩田望騎手の活躍に隠れがちだった岩田康騎手ですが、今年に入り調子を上げています。
単勝回収率161%という好成績を挙げ、馬券的にも注目の存在。この函館記念の勝利が、さらなる飛躍のきっかけとなるかもしれません。
レースを振り返ると、岩田康騎手の巧みな騎乗が光りました。
14番人気のアウスヴァールに先行を許しつつ、2番手につけたホウオウビスケッツ。この作戦が功を奏し、直線で先頭を捉えて勝利を手にしました。
ホウオウビスケッツは前向きな気性の持ち主です。1コーナーから2コーナーにかけて、岩田康騎手は懸命に馬をなだめていました。しかし、この特性が逆に有利に働きました。後続の騎手たちは、前を行く馬が行きたがっている状況で競りかけるのを躊躇します。鞍上が手綱を緩めるだけで加速できる馬に対し、後続の馬が競りかけても自滅する可能性が高いからです。
岩田康騎手はこの騎手心理を逆手にとり、巧みに後続をブロックしました。ホウオウビスケッツの特性を生かしつつ、レース全体を冷静にコントロールしたのです。この頭脳プレーこそが、今回の勝利の大きな要因だったと言えるでしょう。
馬の特性を理解し、それを最大限に活かす騎乗。岩田康騎手の経験と技術が、ホウオウビスケッツの潜在能力を引き出し、見事な重賞制覇へと導いたのです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。