先週の札幌記念では、単勝1.3倍の圧倒的1番人気に支持されたプログノーシスが出遅れて4着に敗れるという波乱がありました。
鞍上の川田騎手に装着されたジョッキーカメラの映像がJRAの公式YouTubeにアップされています。
そこで詳しくレースの状況を見ることができるのですが、ゲートが開く直前に馬がゲートの扉の下からくぐり出ようとクビを下げたときにゲートが開いてしまい、上手くゲートから出ることができませんでした。
鞍上の川田騎手は咄嗟に「アー!」という大声を上げましたが、これはおそらくスターターにゲートを開けるのをちょっと待ってくれという意味もあったはずです。しかし、川田騎手のサインはスターターには届かず、スタートを切られてしまいました。
スターターは、全馬の出走態勢が整ったことを確認してからゲートの扉を開けるのですが、全馬が揃うタイミングというのはなかなかありません。そのため、人気を集めている馬の体勢に注目しているといわれていますが、札幌記念に関してはそうではなかったような気がします。
これで思い出されるのは2015年の宝塚記念です。
単勝1.9倍のゴールドシップがゲートの中で立ち上がりました。スターターはゴールドシップが落ち着いて前脚を下ろすのを待ってからゲートを開いたのですが、そのタイミングでまた立ち上がってしまい、世紀の大出遅れとなってしまいました。ただ、この時は体勢を立て直すのを待っていたので、今回の札幌記念とは毛色が違うような気がします。
こう考えると、スターターもレース結果を大きく左右する力を持っているといっても過言ではありません。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。