先週のエリザベス女王杯で、ルメール騎手は1番人気のレガレイラで5着に敗れてしまいました。
直線での進路選択が大きなカギとなったこのレース、その背景には川田騎手による「ルメール包囲網」の影響が見え隠れしています。
レース序盤から、川田騎手騎乗のラヴェルはルメール騎手を徹底的にマークしました。
1コーナーからルメール騎手の外につけ、4コーナーまで外への進路を完全に封じ込めています。この状況は、春に行われたNHKマイルカップで見られた状況とよく似ています。外に出すという選択肢を失ったルメール騎手は、インコースでの突き抜けを図るしかない状況に追い込まれました。
しかし、この判断が裏目に出てしまいます。コンクシェルの外への張り出しやシンティレーションとの進路争いが重なり、他馬との接触を招いてしまったのです。
注目すべきは、この判断ミスがエリザベス女王杯直前のラッキーライラックカップでの騎乗ともリンクしているという点です。
同レースでも川田騎手はルメール騎手騎乗の1番人気ボールドゾーンを内からブロックし、1コーナーで大きく外を回すロスの大きな競馬を強いていたからです。
こうした一連のプレイが、ルメール騎手の判断に少なからぬ影響を及ぼしているようです。JRAのジャッジはエリザベス女王杯の騎乗に対し「十分な間隔がないのに先行馬を追い抜いた」として50,000円の過怠金を科されることとなりました。
今週のマイルチャンピオンシップでも、ルメール騎手は人気が予想されるブレイディヴェーグに騎乗します。
川田騎手も有力馬のセリフォスに騎乗。ふたりがどういう騎乗を見せてくれるのか今から楽しみです。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。