先週はフェアリーステークスとシンザン記念が行われました。
両レースでは、ノーザンファーム生産馬の成績に明暗が分かれる結果となりました。今回はレース結果の振り返りと共に、フェアリーステークスを制した戸崎圭太騎手に焦点を当てて考察していきたいと思います。
過去のデータから、ノーザンファーム生産馬はシンザン記念で圧倒的な強さを見せています。
2010年以降の15年間における成績は、8勝を挙げ、勝率は19.0%、複勝率は35.7%と非常に優秀です。単勝回収率は184%、複勝回収率は88%と、回収率の面でも注目すべきデータと言えるでしょう。
一方、フェアリーステークスにおけるノーザンファーム生産馬の成績は、同じ期間で3勝と振るいません。勝率は6.1%、複勝率は28.6%、単勝回収率は36%、複勝回収率は78%と、シンザン記念とは対照的な結果となっています。
今年のレース結果も、この傾向を裏付けるものでした。
シンザン記念では、リラエンブレム(3番人気)が勝利し、2着にはアルテヴェローチェ(1番人気)で
ノーザンファーム生産馬によるワンツーフィニッシュとなりました。
一方のフェアリーステークスでは、ホウオウガイア(3番人気)が10着、ジャルディニエ(7番人気)が11着、モルティフレイバー(8番人気)が12着と、上位に食い込むことができませんでした。
このような状況の中、フェアリーステークスを制したのは、戸崎圭太騎手騎乗のエリカエクスプレスでした。
三嶋牧場生産のこの馬は、前半1000mを57.3秒というハイペースで先行し、後続に3馬身差をつける圧勝劇を演じました。勝ちタイムの1.32.8秒は優秀なタイムと言えるでしょう。
ここで注目したいのは、エリカエクスプレスを勝利に導いた戸崎圭太騎手です。昨年の有馬記念をレガレイラで制するなど、現在、絶好調のジョッキーと言えるでしょう。
戸崎騎手はGⅠレースで13勝を挙げていますが、そのうち8勝は乗り替わりでの勝利であり、さらにそのうち5勝はテン乗りでの勝利となっています。
このデータから、戸崎騎手は先入観を持たずに馬の能力を引き出すことに長けているジョッキーであると考えられます。実際、筆者もこの傾向に着目し、有馬記念のレガレイラに注目していました。
今回のフェアリーステークスにおいても、エリカエクスプレスは戸崎騎手にとってテン乗りの馬でした。この点が、同馬の勝利に大きく貢献した可能性もあるでしょう。
今週の京成杯では、戸崎騎手はパーティハーンに騎乗する予定です。この馬もテン乗りなので果たしてどのような騎乗を見せてくれるのか、注目が集まります。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。