前回のコラムでは、きさらぎ賞を勝ったサトノシャイニングの鞍上選択について注目しました。
東スポ杯2歳ステークスでコンビを組んだ松山騎手から西村淳騎手に乗り替わりとなったのは、松山騎手には皐月賞でジョバンニの先約があって本番で乗れないため、皐月賞の先約がない西村騎手に前哨戦から依頼したということでした。
先週も似たような乗り替わりが見られました。
新潟2歳ステークスで2着に好走し、阪神ジュベナイルフィリーズでは戸崎圭太騎手とのコンビで6着だったコートアリシアンが、クイーンカップに坂井瑠星騎手との新コンビで挑みました。
戸崎騎手がフェアリーステークスを快勝したエリカエクスプレスとのコンビで桜花賞に向かうことが決定していることから、桜花賞でも騎乗可能な坂井騎手に白羽の矢が立ったと考えられます。
ただ、同様に戸崎騎手から坂井騎手への乗り替わりとなった共同通信杯のマスカレードボールの乗り替わりの真相は気になるところです。
というのも、戸崎騎手が牡馬クラシックでどの馬とコンビを組むのか現時点ではハッキリしていないからです。カラマティアノスの先約があって騎乗できなかった可能性もありますが、戸崎騎手のようなトップジョッキーともなれば騎乗馬の交通整理に抜かりはないはずで、スケジューリングを間違えて有力なお手馬を手放すようなことはしないと思うからです。
レースは、坂井騎手が騎乗したマスカレードボールが1番人気の支持に応えて快勝し、戸崎騎手が騎乗したカラマティアノスは2着でした。
マスカレードボールは左回りでは内に行くため追いにくい面があり、直線で戸崎騎手が内から迫ったのは、前走までコンビを組んでいた相棒のクセを考慮してのモノだったのかもしれません。ただ、ゴール前は内にササる馬を矯正しながらも、坂井騎手が戸崎騎手を突き放すという結果になってしまいました。
というわけで、いろいろな意味で戸崎騎手にとっては悔しい一戦だったのではないでしょうか。様々な思惑が入り乱れるクラシック戦線。戸崎騎手の心中やいかに。今後の動向に注目したい。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。