先週の弥生賞を制したのは、7番人気のファウストラーゼンでした。
17番人気という超人気薄ながらホープフルステークスで3着に好走し波乱を演出した馬が、それをフロックではなかったと自ら証明する勝利となりました。
ここでは2着に敗れた2番人気のヴィンセンシオに騎乗したルメール騎手の騎乗に注目。
弥生賞のレースラップは以下の通り。
12.6-10.9-12.4-12.8-12.2-11.5-11.7-12.4-12.1-12.7
どの馬も逃げたくない感じで、スタートしてどの馬も他馬の出方を伺う展開。それを見て、ルメール騎手はハナを奪いました。
というのは、どの馬も態度がハッキリせず雁行状態でレースが進むと、馬がジワジワ加速してペースが上がります。ラップを見ても、2ハロン目に10秒台に突入しているのがその証拠です。
そこで、ルメール騎手はこう考えたのではないでしょうか。
「本当は逃げたくないけど、ハナを奪ってペースをコントロールしたほうがベター。スローに落とせば遅い流れに痺れを切らせてマクってくる馬もいるはず。ちょうどホープフルステークスでマクリを決めたファウストラーゼンもいるし。なので、マクリを誘って番手に収まればいい」
筆者の想像が当たっていたかはわかりません。ただ、向正面でファウストラーゼンがマクリを決めて先頭に立ったとき、ルメール騎手はそれに全く抵抗せずハナを譲って控えました。この動きをあらかじめ想定していたのは確かだと思います。
ルメール騎手にしてみればファウストラーゼンをうまく罠に嵌めたつもりだったはず。それでも押し切られてしまったのか、レースの狙いを詳しく聞いてみたいです。
「競馬成駿」はコチラ!


樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。