先週の大阪杯は、横山和騎手が騎乗したベラジオオペラの連覇という結果でした。
昨年勝っていることから、このレースの適性は文句なしだったのですが、今年から賞金が2億円から3億円に増額。それによって例年よりも強いメンバーが集まってどうかでした。しかし、終わってみればそういう不安は杞憂で、結果はレコードでの圧勝でした。
今回は、9番人気のコスモキュランダに騎乗して8着だった丹内騎手に注目したいと思います。
今年の丹内騎手は好調で、すでに重賞3勝。全国リーディングでも6位につける活躍を見せています。これまでGⅠレースとは無縁なのですが、そろそろこういう大きな舞台でも結果を出して欲しいと思っていたからです。
丹内騎手は、22年のキャリアがありながら、GⅠレースの騎乗は今年の大阪杯を含めて14回しかありません。ただ、昨年の秋華賞ではコガネノソラに騎乗する予定だったのですが、前日の新潟で落馬負傷し乗ることができなかったり、不運があってGⅠの騎乗機会に恵まれなかった面も大きいと見ています。
大阪杯では、スタートから馬を押して好位を取りに行き、勝負どころでも勝ちたい気持ちを前面に出して馬を叱咤したのですが、伸びきれず。出してポジションを取りに行ったことで1コーナーで馬が行きたがって折り合いを欠いてしまったのが響いた印象です。
騎乗したコスモキュランダは、ここ2戦マクる競馬をしていたのですが、マクリはペースの緩んだタイミングでしか決まりません。デシエルトの作る締まった流れではマクるタイミングがないので、いつもと違う戦法を選択したのかもしれません。
ただ、マクる競馬をする馬には、ハイペースになった場合には無理に動かずジッとしているという次善の策が常に用意されているので、レコードが飛び出すハイペースになった大阪杯はそのカードが活きた可能性もあります。しかし、そうなると勝つ可能性は低くなってしまうので、勝つ可能性の高い戦法を自ら選択したのではないかと感じました。
「競馬成駿」はコチラ!


樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。