宝塚記念は、6番人気のラブリーデイが2番手から抜け出し快勝。人気馬総崩れで波乱の決着となりました。3連覇のかかったゴールドシップはゲート内で立ち上がったときにスタートを切られ大出遅れ。15着と圧倒的1番人気を裏切る結果となりました。
ここは騎手が主役のコラムですが、今回は厩舎に注目してみたいと思います。拙著「政治騎手名鑑2012復興」のなかで、いまのように外厩で馬を仕上げることが当たり前になると、ゲート難の馬が急増するのではないかと予測しました。今回のゴールドシップの出遅れは、その懸念が顕在化したような気がしてならないからです。
須貝尚介厩舎は、外厩を利用して馬を仕上げるのが得意な厩舎で、短期放牧明けの馬の成績がいいことで有名です。今回のゴールドシップのように中間トレセンで調整したケースもありますが、使い込んでいる馬より、リフレッシュさせた馬のほうの成績がいいのはデータでも明らかです。
○須貝厩舎の出走間隔別成績(14年1月1日~15年6月28日)
中4週以内:勝率10.5%、複勝率27.6%、単勝回収率59%、複勝回収率54%
中5週以上:勝率12.5%、複勝率31.7%、単勝回収率100%、複勝回収率104%
クセ馬の矯正はじっくり時間をかけてやる必要があると思うのですが、馬房の回転効率を考えて入退厩を繰り返すいまの競馬では、そういう部分まで手が回らないような気がしてなりません。ゴールドシップだけでなく、ローブティサージュ、クルミナルなどゲート入りが問題になる馬が須貝厩舎に多いのは偶然ではないように思えてきます。
JRAに改善策を求めても、ゲート試験の合格のハードルを上げることや、ゲート再審査の罰則強化することくらいしかないでしょう。これでは能力あってもレースに使うことができない馬を増やすことになりかねない。馬券ファンに今できることは、スタート調教の巧みな厩舎を見つけることしかないのかもしれません。
【須貝尚介厩舎の出走予定馬】
:夏は函館に力を入れることでお馴染みの厩舎。今週の2頭も要注意!

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。