先週はワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)が札幌で行われました。鳴り物入りで来日したモレイラ騎手が前評判どおりの活躍をみせ、シリーズの優勝を飾っただけではなく、土日で7勝の大暴れでした。
正直言ってどういう騎手なのかよく知らなかったので、初勝利のインタビューに注目しました。自信に溢れたビッグマウスを勝手に期待していたのですが、アイドル歌手のように誰からも嫌われないような立ち居振る舞いで、関係者への感謝を繰り返し述べるという優等生な受け答えに肩透かしを食らいました。
“騎手は「政治力」がすべて”というのは世界共通で、結果を出している騎手であればあるほど、「政治力」に秀でているという当然の事実を再確認しただけでした。
素人が騎手の騎乗技術について語っても滑稽なだけなので、それは皆さんと同じような感想を持ったとしかいえませんが、もし今後の来日があった場合、馬券面で気になった点を述べてみたいと思います。
WASJへの意気込みを語ったインタビューで、「ジャパニーズスタイル」と日本競馬を下に見ているような発言がありました。そのインタビューから引用すると、ジャパニーズスタイルとは「一言でいえば、馬と馬の間にスペースがあるってことだよ。香港の競馬は本当にタイトだろ」ということらしい。この発言から、モレイラ騎手はタイトな競馬を徹底しているジョッキーということがわかります。
タイトな競馬とは、とにかく前に行く、前に行けないときはロスを減らすため徹底的に内にこだわるという意味ではないでしょうか。ハンドルの遊びみたいな部分は一切不要ということでしょう。
12年の大ブレイク以降、年々成績が下がっているウィリアムズ騎手もそうですが、そういう騎乗をする騎手はワンパターンの可能性があるので、周りの騎手にマークされるようになるとどうなるのか気になりました。具体的には、前に行けないようにする(前に行ったら競りかける)、内に入ったらインを締める、もしくは外に出せないようにフタをするというようなことです。
キーンランドCのエポワスは前に行かせてもらえず、内に潜り込んだらフタをされて出してもらえませんでした。このように、周りの騎手に対策されてからどういう手が繰り出せるのかを見たかったのですが、今回の来日ではそこまでは見られなかったです。次回の来日を楽しみにしたいです。
次は短期免許で来日を待ちたい!
香港の“マジックマン”ことモレイラ騎手
樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
「競馬成駿」はコチラ!
樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。