先週日曜の京都8R。武豊騎手は、1番人気のキングノヨアケに騎乗し快勝。この勝利が6年ぶりの年間100勝となりました。かつて騎手界の絶対王者に君臨していた武豊騎手の久々の快哉が、“キングの夜明け”とは上手くできた話ですね。
その武豊騎手は、京都12Rの京阪杯で、2番人気のベルカントに騎乗し4着。スプリント重賞にしては、逃げ先行馬が少ない組み合わせで、最内枠からジワーッとハナに行きましたが、その逃げ方が自分の馬に不利な流れを作ったんじゃないかと感じました。
距離も違うし、相手も違うので、単純に比較することはできないですが、直前の10レース醍醐Sを逃げ切ったダンツキャンサーとは対照的だったからです。
2つのレースのスタートからのラップを比較すると以下の通り。
10R醍醐S:12.5-11.5-11.7-11.6
12R京阪杯:12.5-10.7-10.8-10.9
ダンツキャンサーの逃げは、大外枠から何が何でも逃げる構え。後続の騎手たちはこれに付き合ったらまずいと、200m進んだあたりで譲って行かせてしまいました。あとは、マイペースに持ち込み、そこまで速いペースではないのに、大きなリードを保って逃げることができたのです。
一方、ベルカントの逃げは、スタートからジワーッとハナを窺うもの。あまり、ペースを上げずにハナを奪いたいという感じでした。しかし、後続もあまり楽に行かせ過ぎちゃうとマズイと思ったのか、離されず追走してしまう。そのため、後続の馬もどんどんスピードに乗って来るし、後ろとの差が開くこともない。息を入れることができず、ペースの速い厳しい逃げになった。
ダンツの好走の要因は、後続の馬がスピードに乗り切る前に、控えてくれたことに尽きるでしょう。このように、スタートでの騎手の挙動や、駆け引きで勝負が決まることも、意外と多いのです。
樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。