昨年の2月15日。この日、小牧太騎手は4頭の攻勢をかけてきた橋口厩舎の馬に騎乗するために、小倉に遠征しました。このため京都の飛鳥S(芝1800m・1600万下)に出走した福島信厩舎のテイエムイナズマは小牧騎手からシュタルケ騎手に乗り替わり。
テイエムイナズマは誰もが手を焼く折り合いの難しい馬で、テン乗りで簡単に乗りこなせる馬ではありません。しかし、シュタルケ騎手は、その難しい馬を好位3番手で折り合わせ、直線抜け出して快勝させたのです。そのシュタルケ騎手の好騎乗が一発で厩舎の信頼を勝ち取ったのではないでしょうか。
また、15年2月7日の京都6Rで小牧騎手がナムラアンに騎乗したときは、後方から追い込むも届かず4着だったのが、シュタルケ騎手に乗り替わった15年2月22日の京都5Rでは、出ムチまで入れて先行して3着。結果にはそこまで大きな違いはないですが、脚を余して負けたように見える小牧騎手の騎乗より、折り合いに苦労しながらも前に行って力を出し切ったシュタルケ騎手の騎乗のほうが印象よく映ってしまうのは仕方のないところ。
小牧騎手は、福島信厩舎の主戦といってもいい存在だったのですが、このナムラアンの騎乗を最後に福島信厩舎からの依頼がなくなってしまいました(15年3月以降の依頼はたった一鞍だけ)。小牧騎手とのコンビで14年のチャンピオンズC2着だったナムラビクターはM・デムーロ騎手とコンビを組むことになり、ナムラアンも小牧騎手のもとには戻ってきませんでした。
あれから一年後。飛鳥Sで小牧騎手がコンビを組んだのが、福島信厩舎のナムラアンだったのです。しかも、出遅れ癖があって、折り合いも難しい同馬ですが、スタート決めて先行させ、見事勝利したのです。
この勝利で小牧騎手は溜飲を下げたことでしょう。これから福島信厩舎とのコンビ復活となるようなら、その動きには注目したいと思います。
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樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。