先週のマイルCSは、浜中騎手が騎乗したミッキーアイルの逃げ切り勝ちでした。ただ、ゴール前で外に斜行し、後続の多くの馬に不利を与え後味の悪いものとなってしまいました。
いまのルールは、馬のパフォーマンスと騎手への制裁を切り分けて考えるというもの。
斜行があってもなくてもミッキーアイルが勝っていた(不利を受けた馬のなかにミッキーアイルを逆転できただろう馬はいなかった)という判断で、失格も降着もなかったのでしょう。
裁定に納得に行かない人も多いとは思いますし、これだとラフプレーがヤリ得なんじゃないかという声が上がるのも仕方がないと思います。新ルール導入時から、そういう懸念があったので、それが実際に起きてしまった気がします。
そこで、浜中騎手への8日間の騎乗停止という処分は妥当なのかを考えてみます。浜中騎手が8日間でどれくらいの進上金を稼ぐのか。
今年これまで浜中騎手は約11億9000万円の賞金を獲得しており、進上金はその5%なので、約5950万円となります。今年はケガもあって休んだ日もありますが、69日騎乗しており、1日当たり平均で約86万円の進上金を稼いでいる計算。
これが8日分稼げなくなるので、稼げたはずの進上金は約688万円となります。ちなみに、浜中騎手はマイルCSの勝利で515万円の進上金(賞金の5%が騎手の取り分となる)を受け取っています。
騎乗馬のラインナップで稼ぎが増えたり減ったりするとはいえ、マイルCS分の進上金分はなくなったといえるのではないでしょうか。さらに、それに加えて騎乗手当も入らなくなるわけですし、勝ち星を増やせず成績にも響くでしょう。
そこまで軽い処分ではないと思うのですが、ただそれでもやってしまった斜行を取り戻せるわけではありません。それは、復帰後の騎乗ぶりでしか取り戻せないと思うので、クリーンでアグレッシヴな騎手となって戻ってきて欲しいですね。
樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。