前回書かせていただいたコラムで、12月28日開催を反対する理由について述べさせていただきました。
もちろん。競馬にアクシデントはつきもので、騎手という職業はいつ命を落とすかもわからない危険な職業ということは理解しています。だからといって何人も騎手が命を落としていい理由にはなりません。
事故を減らし安全なレースの遂行に常に最優先で取り組むべきで、それよりも優先されることなどないはずです。だから、12月28日開催は今年限りで思いとどまるしかないのではないでしょうか。
厳寒期に変則開催を増やすと事故が増えるのではないかと危惧したのですが、先週日曜の京都2Rで、またしても落馬事故が起こってしまいました。しかも、落馬事故に巻き込まれた川田騎手は腰の骨を折る大けがを負い長期の離脱を余儀なくされています。
正月開催は毎年変則開催になるとはいえ、今年の場合は年末も変則開催なので、変則開催明けの後にさらに変則開催があるという、いつもとは大きく違う状況だった。しかも、お正月期間は厩舎スタッフも半休となるので、そういう事情も考え合わせるとかなり馬の仕上げが難しかったはず。
この3日間開催で馬体重が10キロ以上増えてレースに出てきた馬は146頭にも上りました。
馬券も大荒れ連発。筆者は、昨年からこうなることを予測していたので、先週はこのサイトで公開した予想で3連単の54万馬券も的中させることもできました。でも、穴党だからレースも荒れて、配当が跳ねておいしいなどとはまったく思いません。
そして、来年以降は、こういうことが毎年のように起こるかもしれない。そうなると騎手は自分で自分の身を守るしかないのではないでしょうか。返し馬やレース中にちょっとでも馬も異変を感じたら、無理しない。自分の馬が無事でも、他の馬が故障して事故に巻き込まれるかもしれないので、勝負どころで狭いところに入ったりせず安全に外を回してばかりになるかもしれません。
すでに自衛手段を取っていると思しき騎手をよく目にしますが、最近はそういう騎手を批判する気にもなれない。それよりも公正競馬とはなんなのかよく考えるべきではないかと思うのです。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。