先週の東京新聞杯は、意表を突く逃げの手に出たブラックスピネルの逃げ切り勝ちでした。
東京新聞杯は3年連続で、前半3ハロンが36秒以上、千通過が60秒以上かかるという、マイル重賞にしては異例のスローペースが繰り返されております。なので、これからもそういうレースになる可能性が高いと考えて予想すべきなのかもしれません。
エアレーション馬場導入の影響で芝での逃げ切りが難しくなったということも、スロー蔓延の一因なのかもしれません。
というのも強い逃げ馬の出現が難しくなり、逃げ馬が(条件戦を勝ち上がって)上のクラスに昇級できなくなっていると考えられるからです。
道中はリズムよく競馬をさせて、溜めに溜めた脚を直線で爆発させるような馬がどんどん勝ち上がっていった結果が、東京新聞杯のようなレースに繋がっているのではないでしょうか。
東京新聞杯のレース後のコメントを見ていて気になったのは、戸崎騎手です。
戸崎騎手(ヤングマンパワー2番人気6着)
「久々の分、少し力んでいたようでした。直線ではいつもの感じがありませんでした」
柴田大騎手(マイネルアウラート4番人気4着同着)
「勝ち馬に先に行かれてしまい、2番手からレースをして、早めにつついて行ったのですが……。よく頑張っていると思います。今日のところは仕方ないです」
こういうレースだから、前に行けることは大きな武器になると思うのですが、戸崎騎手は位置取りの利よりも、馬のリズムを優先していると思われるからです。柴田大騎手のコメントとは対照的です。
ただ、いまの競馬で勝ち星を量産できるのは戸崎騎手のような乗り方をする騎手だということはアタマに入れておきたいです。リーディングを獲れるのもこういう騎乗を徹底しているからかもしれません。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。