ヒヤシンスSで2着に敗れたアディラートに対する武豊騎手のコメントが非常に興味深いものでした。抜粋すると。
「ラチ沿いは砂が深いので避けたんですが、勝ち馬にはそこを走られて差されてしまいました。相手が強かったですね」
パトロールビデオをみると内一頭分ラチから離して競馬をしているし、直線に向いたときには、番手につけていたスターペスマリアを外に弾き飛ばしてまでラチ沿いを走ることを避けようとしています。武豊騎手は、ラチ沿いの砂が深いという衝撃発言の通り、ラチ沿いを避けて競馬をしていたのは明らかです。
しかし、逃げた武豊騎手がインを開けていたので、勝ったエピカリスは難なくインから抜け出すことができた。1番人気のエピカリスを苦しめようと思ったら、インを閉めて出させないほうがよかったのではないかとも考えられます。
そこで、もう一度武豊騎手のコメントを読んでみると面白い。
つまり武豊騎手は、エピカリスを砂の深いインに押し込むことができれば自分の馬で勝てると踏んで、まんまとルメール騎手を自分が仕掛けた罠にはめることができた。それにも関わらず負けてしまったので、勝った馬が強かったといっているのではないでしょうか。
勝ち馬に内をすくわれてしまったわけでは断じてないということを説明するために、わざわざ内が深いということまで暴露してしまったのではないでしょうか。というわけで、レースには負けてしまったけど、ルメール騎手との駆け引きには勝ちましたというのがコメントの真意だったのではないかと思うのです。

樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。