先週の中山牝馬Sは、前半3ハロンが37秒8というスローな流れのレースになりました。
これは同日のダート1800mの未勝利戦(3R、前半3ハロン37秒7)よりも遅いといえば、いかにペースが遅かったのかわかりやすいのではないでしょうか。芝の未勝利戦(5R芝2200m、前半3ハロン36秒6)で比較したら1秒以上も未勝利戦のほうが速いのです。
とはいえ、ここ最近の中山芝の中距離レースはクラスが上がれば上がるほどペースが遅くなる傾向があります。どうしてそうなるのかを端的に見せてくれたのが、東風Sを快勝した田辺騎手とグレーターロンドンのコンビではないでしょうか。
東風Sも前半3ハロンが37秒6、千通過62秒5というスローな流れでレースが進みました。しかし、田辺騎手のグレーターロンドンは後方2番手で折り合いに専念。直線で大外に持ち出すと一瞬で突き抜けました。
このように鋭い決め手があれば、道中の位置取りやペース配分を気にするよりも、終いのキレを温存したほうが正解となることが多い。なので、道中前の馬をつついたりしないし、先行しても粘れないから、行こうとする騎手も減ってくるし、行ったとしてもペースを上げる必要がないので、どんどんスローになるのではないでしょうか。
だから、決め手を持った馬が多くなる上級条件では必然的にスローとなる。
中山の攻略法を熟知している田辺騎手ですが、他の騎手も田辺流を参考にし始めると、そのメリットが薄れてくる。そこでさらに上をいく手を打てるのかに注目したい。
樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。