JCダートはルメール騎手が騎乗した3番人気のベルシャザールが勝ちました。意外なことに、ルメール騎手の日本でのGⅠ勝ちは09年のJCのウオッカ以来で、4年ぶりのことだそうです。近年、外国人騎手が多数来日するようになり、外国人騎手の中での争いも激しくなっています。最近は社台ファーム系列の主戦はM.デムーロ騎手だったので、同じく社台ファーム系列から馬を回してもらっているルメール騎手にはなかなかいい馬が回ってきていなかったのかも知れません。ただ、今年はM.デムーロ騎手の元気がなく、この勝利でルメール騎手との立場が逆転するかもしれません。ふたりの動向には引き続き注意が必要と思っています。
今回取り上げるのは、WSJSを制したR.ヒューズ騎手です。3レース終わった時点でR.ヒューズ騎手がトップだったのですが、2位のシュタルケ騎手とは7ポイント差で全然セーフティリードではありませんでした。最終戦でポイントを上積みしないと逆転される恐れが大。なのに、最終戦での騎乗馬は13番人気のショウナンマハ。あくまで馬券ファンの評価ではありますが、この馬で勝ち負けするのは厳しい状況だったのです。
ただ、全く可能性がなかったワケではなくて、優勝の可能性を残した騎手は、最終戦での逆転を狙って何が何でも勝ちに行くハズ(勝負から脱落すると大バテもある)だし、優勝の可能性のない騎手はもうやる気がない。だから、うまく脚を溜めて着を拾えば、そのまま逃げ切れるかもしれない。幸いにも、ショウナンマハは鋭い差し脚を持っている。
レースは後方2番手でジックリと脚を溜め、直線は馬群を縫ってバテた馬を交わして行きました。前が厳しいレースになったので、それで3着まで押し上げることが出来たのです(このポイントがモノをいって優勝)。
外国の一流ジョッキーは、ダイナミックな追い方など、技術面ばかり注目されますが、競馬で勝つための一番の武器は、やはり「頭脳」と「戦略力」ではないでしょうか。
それは、世界共通なのです。


樋野竜司
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。