函館記念は、ここ8年で3連単10万超えとなったのが6回。昨年も上位が3、13、9番人気で決まり23万馬券となったように波乱が当然の重賞。今年も波乱傾向は変わらないのか? 多くの関係者に話を聞くと、「荒れそう」という意見が多かった。
「今年も上位人気馬がアテにならないですね。恐らく人気になるのは3歳馬のサトノアレスでしょうか。唯一のGⅠウイナーですし、前哨戦の巴賞を勝っていますからね。
ただ内容は物足りなかったと言わざるを得ません。54キロと斤量が他の馬より軽く、相手も目立った馬はいなかったので、もっと楽に勝てると思ったのですが、一時はアングライフェンに詰め寄られるシーンも。何とか勝ちましたが、僅かにクビ差。鞍上のルメール騎手もレース後、この競馬ではGⅠでは厳しい、みたいなことを言ってましたからね。今回はGⅢだから大丈夫という見方もありますが、巴賞より相手も強くなるうえに、3歳馬でもGⅠウイナーなので、どこまでハンデの恩恵があるか。いずれにしても1番人気では美味しくないですね」(競馬雑誌記者)
GⅠウイナーと言っても、それは2歳戦。3歳になってからは巴賞こそ勝ったものの、スプリングSは4着、皐月賞は11着に敗れている。もともと今年の3歳牡馬戦線はレベルが低いと評されている。サトノアレスも前走を叩いてどれだけ変わり身があるか。そのプラス部分が大きくないと、今回は厳しそうである。
では古馬のほうを見ていく。こちらで人気になりそうなのは、前走の鳴尾記念で初重賞制覇のステイインシアトルだ。
「この馬は1週前まで栗東で調整。6Fから早めの時計で、上がりも12秒を切り、いい状態を維持している。前走後、早くに函館記念を目標にしてきたので、仕上がりはいい」(関西記者)
と状態は太鼓判。ただ前走の内容は、こちらも100点満点というほどではないようだ。
「鳴尾記念は、武豊騎手の腕が光った一戦で、展開と馬場を味方にうまく逃げ切る形に持ち込んだ。あの競馬がもう一度できるかは疑問。今度はハンデも増えるしね」(関西記者)
池江厩舎の期待馬で、鞍上は武豊騎手。そして前走重賞勝ちで人気も上がりそうだが、中身を注意深く見ると、この馬も危ない人気馬に見えてくる。
サトノアレス、ステイインシアトルが危ないとなれば、函館記念は今年も波乱の可能性が大きくなる。では波乱を起こす候補はどのあたりになるのか。
「前哨戦の巴賞は、勝ち馬が函館記念で上位人気になって飛ぶケースが多く、狙うなら巴賞で負けた馬。昨年大穴をあけたケイティープライドも同じパターン(巴賞6着→函館記念13番人気2着)だったからね。
今年面白いのは巴賞3着だったナリタハリケーン。3歳時の夏に芝を使ったのを最後に、以降は8歳になるまでずーっとダートを使い、芝のレースに出たのは前走の巴賞が5年ぶり。この状況で3着に来たのだから、価値は非常に高いと思うよ。2戦目の芝で前進の余地は他の馬以上だし、ハンデも軽くなるだろうから、前走以上のレースを期待できる。
もう一頭挙げるならケイティープライド。昨年2着で波乱の主役となったが、その後もチャレンジCで3着時が11番人気と、とにかく人気薄の時こそ怖い馬。今回も近走不振で人気薄は間違いなし。洋芝適性があり、立ち回りも巧いので函館は合う。陣営も昨年2着のレースに照準を合わせているはずで、『ハンデが軽ければ』と大駆けを期待している。当然ハンデは軽いだろうから、昨年に続く波乱を起こす可能性はある」(函館担当記者)
人気馬に不安のある函館記念。今年も穴志向で臨みたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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