昨年の春のクラシックシーズンは、「今年の3歳は、牝馬は強いけど、牡馬は弱い」という見方が多かった。
しかし昨秋になって見方は変わる。弱いと見られていた3歳牡馬が重賞戦線で活躍。ダービー馬レイデオロはジャパンCで2着に入り、初対戦だったキタサンブラックに先着。皐月賞2着のペルシアンナイトは、マイルCSで古馬を倒しGⅠ制覇。ダービー2着のスワーヴリチャードは、アルゼンチン共和国杯を大楽勝し、有馬記念でも4着。ほかにもウインブライト、サングレーザー、サトノクロニクルらが古馬を破って重賞勝ち。その流れは年が明けても変わらず、中山金杯はセダブリランテス、アメリカJCCはダンビュライト、ミッキースワローで明け4歳馬がワンツーと大暴れしている。
牡馬の活躍が目立つが、牝馬も負けていない。夏から早くもジューヌエコール(函館SS)、アエロリット(クイーンS)が重賞で古馬を破り、秋になるとエリザベス女王杯で3歳馬のディアドラが優勝。締めは昨年12月のターコイズSで、ミスパンテールが勝利を収めている。
こうして躍進続く4歳世代のGⅠ馬が、ズラリ並ぶのが今年の京都記念だ。
ダービー馬レイデオロ、皐月賞馬アルアインと牡馬クラシックウイナー2頭の他に、秋華賞勝ち馬ディアドラ、エリザベス女王勝ち馬のモズカッチャンと、4歳のGⅠ馬が4頭。更に菊花賞2着のクリンチャーも出走する。
「古馬ではミッキーロケット、クロコスミアあたりが候補ですが、明け4歳勢に比べると上積みも薄いですし、中心はやはり4歳勢ですね」(競馬専門誌記者)
そんな4歳勢の中でも、注目を浴びるのは当然ダービー馬レイデオロだ。
「ダービーを勝った頃は正直、相手とレースレベルに恵まれたと思っていましたが、そんな印象は秋になってぶっ飛びました。神戸新聞杯は8分レベルのデキで、後の菊花賞馬キセキを相手に楽勝。ジャパンCではシュヴァルグランに敗れたものの、キタサンブラックに先着した事実は大きいですね。そのキタサンブラックが引退し、年齢的な上昇度を加味すると、今年の主役として期待されます。そんなポジションを考えたら、ここは負けられないでしょう。
ただ1週前の追い切りは、追走したとはいえ3歳馬に遅れ。あまり時計を出さない馬なので心配ないのですが、厳冬期のGⅡで仕上げに余裕を持たせていることは間違いないでしょう。神戸新聞杯の時も、そんな状態で完勝していますから心配ないとは思いますが」
この後はドバイ遠征が控えていることを考慮すると、せいぜい8分程度の仕上げかもしれないが、能力的な面で他を大きくリードしており、馬券圏内から消える可能性は極めて低いと言えるだろう。
迎え撃つ関西勢はどうか。
「皐月賞馬アルアインは1、2週前にCWで速い時計を出し、上がりも11秒台半ば。動きは凄くいいし、陣営も『力を出せる』と仕上がりは良好だよ。問題は距離かな。2200mを超えると、少し終いが甘くなる。母は短距離馬だし、体型からも距離が持つタイプではない。今回の相手で2200mは気持ち長いかな。
牝馬のGⅠ馬2頭も久々だが、仕上がりは悪くない。ディアドラは1週前にCWで併せた相手を大きく追走し、最後は突き放して見せた。一回り大きくなったイメージもあるし、好勝負を期待できる。
モズカッチャンは、坂路で全体時計は目立たないが、終いは12秒前半で上がっている。秋もこんな感じだったので悪くないよ。乗り込みも入念で、太目も感じられない。
GⅠ馬以外で目が行くのはクリンチャーだよね。地味で目立たない馬だが、皐月賞で4着、菊花賞で2着とGⅠでも好走している。デビュー戦が大敗、久々のセントライト記念も9着に敗れており久々は懸念材料だが、中間の状態は『今までで一番かも』って話も聞いたから、久々で嫌われるなら、馬券的には面白いかもしれない」(関西記者)。
明け4歳のGⅠ馬4頭が対決する今年の京都記念は、まるで真冬のドリームレース。能力的にはレイデオロが上だが、仕上がり状況と今年のメンバーなら、そう簡単に勝たせてはもらえないだろう。特に、前で競馬ができるクリンチャーが、GⅠ馬相手に一泡吹かせてもらいたいところだ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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