春のGⅠシリーズ最後を飾るマイルの安田記念。人気を集めるのはスワーヴリチャードか。古馬となった今年は金鯱賞を勝ち、大阪杯では不安視された右回りも問題なく初のGⅠタイトルを手にした。この勢いでGⅠ連勝と行きたいところだが、問題は距離。昨年の今頃は2400mのダービーで2着。秋になると2500mのアルゼンチン共和国杯を快勝し、同じく2500mの有馬記念で2着と長距離仕様だった。しかし今年に入ると距離を短縮し、2000mの金鯱賞を勝ち、大阪杯と連勝。そして今回は更に距離を縮め、初のマイル戦となる。
「前走後も順調に来ており、仕上がりに不安はない。問題は距離なんだよな。金鯱賞で引っかかったように、もともと折り合いに難しいところがあったから、距離短縮で楽になる面はある。ただ、さすがにマイルは短い。スタートもいいほうじゃないしね。
前のように右回りに不安があった時なら、左回りを狙って安田記念に出走するのは分かるが、古馬になって体質もしっかりし、右回りの大阪杯は難なく勝った。だから今更左回りに拘る必要もないと思うのだが。もしマイルの流れに対応して勝ったとしても、次に距離を伸ばしたら、また引っかかるかも」(関西記者)
と、マイル戦を使うことに疑問を呈した。先のレースに向けてどのような影響を与えるか分からないが、とりあえず安田記念に関しても、スタートを決められずレースに乗れないと厳しくなりそうだ。
他に気になるのはリアルスティール。2戦前にドバイでGⅠを制しているように、力はメンバーでも上。気になるのは状態だ。以前にドバイで勝った時は、その後に安田記念に出走し11着と大きく崩れた。今回も同じローテーションで大丈夫なのか。
「ドバイから戻ってから緩めており、その影響か1週前調教は少し重い感じだった。レースまで、どれだけ仕上げられるか」(関西記者)
近走を見る限り、能力に衰えは見られず力は上だと思うが、海外帰りは仕上げが難しく、2年前の安田記念の記憶も甦る。
他の有力馬の近況も見て行こう。
「ペルシアンナイトも大阪杯2着以来。1週前の体を見たら多少余裕がある感じだったが、レースまで1週あるし、輸送もあるから大丈夫だろう。マイルCSを制しているし、距離短縮は問題ない。
マイラーズCを制したサングレーザーも順調。昨年のマイルCSで上位に来ていることから、GⅠでも通用するだろう。
リスグラシューもメンバーが揃った東京新聞杯を勝っていることから、牡馬相手のGⅠでも期待はできる。ただ長距離輸送続きの中2週はちょっと嫌だね」(関西記者)
関西馬では、マイルGⅠ連覇を狙うペルシアンナイトは安心して買えそうな馬である。
では関東の有力馬を見てみたい。
「関東では、藤沢厩舎が4頭を登録し、勝負気配ムンムン。京王杯SCを勝ったムーンクエイクの勢いが目立ちますが、安田記念へ向けて余力を感じるのはサトノアレスですね。京王杯は3着でしたが、32秒台の脚を使って4コーナー後方から猛襲。僅かに届きませんでしたが、ゴール前は一番目立っていましたし、レコード決着を考えたら、あの位置から勝ち馬にタイム差無しまで接近した中身は高いと思います。安田記念は京王杯より差しが決まりやすいですから、朝日杯以来のタイトル奪取もあります。
他厩舎では、昨年3着のレッドファルクスが注目の一頭でしょうか。ただ昨年は高松宮記念3着、京王杯SC1着と好調を維持しての出走。今年は高松宮記念8着と崩れており、昨年ほどの勢いは感じられません」(競馬専門誌記者)
関東馬は藤沢勢が中心。中ではサトノアレスがお奨めのようだ。
1番人気になりそうなスワーヴリチャードはマイルに不安、実績上位のリアルスティールは状態が微妙。となれば、安田記念が春の大目標のペルシアンナイト、キレ者サトノアレスの末脚に賭けたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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