夏のローカル開催もいよいよ最終週。3つの重賞が用意されているが、GⅠへ向けて最も重要なのは札幌2歳Sである。
ここ10年の勝ち馬から、ロジユニヴァース(ダービー)、レッドリヴェール(阪神JF)と後のGⅠウイナーが2頭、2着馬からはゴールドシップ(GⅠ6勝)、アヴェンチュラ(秋華賞)、3着馬からはレッツゴードンキ(桜花賞)と、札幌2歳S上位から複数のGⅠ馬が誕生している。
今年のメンバーは、「例年以上に強力」と見ている関係者も多く、より重要性は高まっている。
「現在の2歳戦線の牡、牝のトップがここへ出てきたと見ていいのではないでしょうか。
牡馬ではクラージュゲリエですね。新馬戦は、道中14秒台が2つ続く超スローペース。いくら新馬戦でも、ここまで遅いペースはなかなかありません。当然前に行った馬が有利だったはずですが、クラージュゲリエは最後まで追い出しを我慢し、後方から豪快な差し切り。レースの最後の2Fが11秒3-11秒3ですから、この馬は加速ラップだったでしょうし、最後の1Fは11秒前後と思われます。このレース内容から、現時点の牡馬のトップに、クラージュゲリエを推す人は結構いますよ。
血統的にも、兄に重賞ウイナーのプロフェットがおり、まだまだ可能性を感じさせる馬。先も楽しみですが、まずは兄が2着に敗れた札幌2歳Sを勝ちに来るでしょうね。
対するウィクトーリアは、東京で好タイム勝ちしたグランアレグリアと並ぶ牝馬のトップと見る人が多いですね。クラージュゲリエとは対照的に、こちらの新馬戦は道中に13秒台が一つもなく、緩みの無い流れ。このペースを自分でつくり、最後の3Fは全て11秒台。デビュー戦でこれをやられては、普通の馬ではたまりません。2着に3馬身、3着に7馬身の差がつくのは当然で、圧倒的を差をみせつける逃げ切りでした。また函館の芝1800m戦で1分48秒3の時計も、ベラボウに速い。この馬を牝馬のトップに推す人が多いのも分かります。
このクラージュゲリエ、ウィクトーリアの対決は見もの。この先はそれぞれ牡、牝の路線に分かれるでしょうから、貴重な一戦ですよ」(競馬専門誌ライター)。
話を聞くと、この2頭でがガチガチなイメージだが、関係者の中には、他馬を推す人も当然いる。よく名が挙がっていたのは、アフランシールだ。
「時計的にはウィクトーリアに見劣るが、アフランシールの新馬も悪くない時計だし、楽々抜け出したレースから、まだまだ伸びしろは大きいよ。姉は1200mの重賞を2勝しているブランボヌール。それだけ見ると短距離馬のイメージだが、こちらは母の弟のダコール(新潟大賞典勝ち)に似たタイプで、中距離が合う。初戦もゴールまで減速していないし、スタミナもありそうだからオークスまで楽しみだと思う」(北海道担当記者)
当初予定されていた良血サートゥルナーリアが回避したため興味が薄れていた札幌2歳Sだが、牡牝のトップクラスが集まり、一気に興味が沸いてきた。先のGⅠ戦線に繋がる可能性も高く、しっかりレースを記憶しておきたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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